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アレックス=E=フォルカスのあやひによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
アレックス=E=フォルカスのあやひによる2人ピンナップクリスマス2020(横)
イラストSS
薄暗い室内。窓の外で降り積もる雪だけが白の色彩を保っていた。
「何でも、良いのか……? なら、アレックス」
泣きそうな声が聞こえる。
のしかかられた手先から伝わるのは冷たい感覚。ルクトのマリンブルーの瞳が何かに怯えるようにアレックスに向けられていた。
それは、拒絶を何よりも恐れるように。不安そうな子供のように。
「お前を、寄越せ……」
絞り出したように続ける声は、少しだけ掠れている。
普段とは全く違う相棒の様子に普段強い光を湛えているアレックスの瞳が揺れる。そもそもこうなったのはどうしてだっただろうか。視察の帰り、凍えたルクトの様子はおかしかった。心細そうな姿に、明日の約束を取り付けようとして何が欲しいかを聞いたからだったか。
押し退けようと思えばいつでも出来たはずなのだ。
けれども、それは出来ない。出来るはずがない。
そんな目で見つめられてしまっては。
アレックスの手が頬へと添えられた。ひんやりと、室温で少しだけほぐれた冷たさが伝わってくる。
目を合わせる。紫と水色が交差した。
きっと告げる言葉は何処まで経っても一つなのだろう、けれど。今はまだ言えないでいる。
*SS担当者:金華鉄仙NM