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【097】お小夜さん(天の声忖度ファンド)
【097】お小夜さん(天の声忖度ファンド)
イラストSS
●天の声忖度ファンド
スベスベで張りのある肌、ツヤツヤの髪、ほんのり火照った体。――小夜はちゃぷんとバスタブに浸かり、今日一日の事を考えた。
街は人々の喧噪で溢れかえっていた。目が見えていたのなら、眩いばかりのネオンを自ら遮っていた程だろう。彼らは何をして過ごすのか。家族で、恋人で、あるいは……小夜のように静かに一人を満喫する者もいるだろう。
しなやかな肢体を動かす度、湯がざぶざぶと揺れる。暖かい。耳から、肌から、感覚から入ってくる情報量が多すぎて、今日は少し、疲れた。そんな小夜がとれる、貴重なゆったりとした時間。
「シャイネンナハト……皆、そんなに盛り上がれるものなのね」
いまいち実感の湧かない小夜は、別段騒いでいる連中のことを見下すでもなく、唯「元気ね」としか思わない。
思えば、小夜は常に一歩引いたところから物事を見ているのだ。それが今日という特別な日でも同じ。何時ものように湯に浸かり、暖かい寝床に入って、また明日が始まる。
そういえばもうすぐ新年だ。色々と混雑する前に何かしら買い足しておかなければ。そんな事を考えながら、ザブっと湯からあがると、タオルで軽く身の水滴を拭い髪を乾かすのだった。
*SS担当者:まなづる牡丹NM