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淡光からの逃避者
淡光からの逃避者
イラストSS
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シャイネン・ナハトの賑わいから少し離れた練達の物静かな公園。
『気丈な覚悟』九重 縁(p3p008706)と『木漏れ日の先』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)はサラリと降る粉雪の中、その隅にあるベンチに腰を下ろしていた。
練達の首都セフィロトでは今頃シャイネン・ナハトで街は華やいでいるだろうが、けれどそんな喧騒もたまには遠くで感じていたくて。
特に練達のアイドルである縁は忙しない日々を送る傍ら、こんな静かな時間はきっと貴重なのだろう。
「こんなに……」
最初に口を開いたのは縁。
「こんなに静かな時間は……久しぶり、ですね」
ぽつりと呟いた彼女の言葉は、白い息と共に空へと消えてしまいそうで。
「こんな時間も、悪くは無いでしょう?」
ベンチの後ろにあるフェンスにもたれ掛かりながら、ヴァイオレットは開けていた缶コーヒーを一口含む。苦くも温かみのあるそれは、この冷え切った身体を芯から温めて。
「はい、とても……」
縁も暖を取る為に持っていたコーンポタージュを一口。仄かなトウモロコシの甘味は縁の心をまた穏やかにさせてくれる。
暗い空から降しきる粉雪を見上げて、どこか遠くを見つめるような二人。
ああ、この懐かしい気持ちは──。
*SS担当者:月熾NM