イラスト詳細
仙狸厄狩 汰磨羈のはちごうによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
仙狸厄狩 汰磨羈のはちごうによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
シャイネンナハト――祈りの流星が降り注ぐ聖夜、だが。
練達の片隅に立つ長屋『玉豊夢』の一室には、いつも通りのまったりとした時間が流れていた。
「ふむ、やはり冬は炬燵に限るな……」
「えぇ、こうして親しい方とゆるりと過ごすのは極上でございますね」
障子に畳、旅人であれば馴染みのある和室――その中央に置かれた炬燵で暖をとりながら、汰磨羈と雪之丞は至極ゆったりと会話を交わす。
近しい文化の世界出身である旅人の両名。
普段は和服を好んで着ているのだが、今日に限っては汰磨羈・雪之丞共に珍しく洋装を纏っており――それだけ見れば、特別な日らしく見えるのだが。
「まだ若干寒いな……よし」
「おや、半纏とは。拙も冬場はよく着ていたものです」
汰磨羈が真っ赤な半纏を羽織れば、一気に空気は緩み切り。
「おおそうだ、シャイネンナハトといえば」
そう汰磨羈が取り出したのは。
白い丸が二段重なり、蜜柑が乗った。
そう、新年を祝う――。
「ケーキだ」
「ケーキでございますね」
誰も突っ込まないこの空間で、鏡餅を模したケーキを切り分け頬張れば。
汰磨羈の眼はきらりと輝き、雪之丞は頬に当てその甘味を噛み締める。
幸せそうにケーキを頬張る二人の後ろでは、ツリーが何か言いたげにぽつりと佇んでいた――。
※担当『飯酒盃おさけ』