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たまにはお金の関わらない善行を、心のままに
たまにはお金の関わらない善行を、心のままに
イラストSS
シャイネンナハトの時期は、どこも大忙しになる。
飲食関係は最たる物。それらを求めて、街中は人に溢れかえるだろう。
「慌てなくていい」
その喧騒から、少し外れた所に、教会がある。
中はクリスマス一色。教会で預かっている子や、近所の人を集めて行われる食事会の最中だ。
「皆に行き渡るだけある。この者がしっかりと数えた」
ロゼットは、その手伝いをしていた。
腰に引っ付いて、配膳する手の動きをじーっと見る幼子を声であやしながら、準備を進めていく。
「ありがとうねぇ、助かるわ」
「構わない。たまにはこの者とて、そういうことをする時がある」
笑みを浮かべて頷く。
商人気質、とまでは行かないが、労働には対価を、お金を割りと重んじる彼女としては珍しい、無償の活動だった。
配膳を済ませ、落ち着かない子供達の背を促し、静かな着席を待って。
「月明かりの祝福を皆に」
祈りを捧げ、教会は緩やかな時の流れを過ごした。
※担当『ユズキ』