イラストSS

　シャイネンナハトの外は寒くとも、部屋の中は掛布が要らないと思わせるほどに暖かい。広めのベッドはシーツがサラサラとしていて快適だ。
「んぅ……」
　すり、と無意識に寄ってきた焔宮 鳴の手を握り、Lumilia＝Sherwoodは小さく笑みを漏らす。目の前の少女は凡そ12歳とは思えない女性らしい体型であるものの、無防備な寝顔は年相応。良い夢でも見ているのか、時折くすりと微笑んでいた。
　そんな鳴の手は温かく、繋いでいるLumiliaも睡魔に誘われてしまいそう。掌から伝わって体全体がポカポカしてくるようだ。
（髪を解いてしまいましょうか）
　寝るまで時間があるからと、髪をまとめてバレッタで留めていたのだ。寝る時には邪魔になってしまうだろう。
　バレッタに繋いでいない手を伸ばし、パチリと留め具を外す。枕元にそれを置き、Lumiliaはそっと目を閉じた。
　こうして眠ったら、鳴と同じように良い夢を見られるだろうか。
（……見られそうな気がしますね）
　だって今宵はシャイネンナハト。争いの起こらない、願いを込める夜。願えばきっと叶うことだろう。

　だから──この夜くらいは、平和な夢を。

※担当『愁』