イラスト詳細
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤのpesによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
くすんだ灰と錆び。
短い陽光の恵みに浸る冬枯れの街並み。
全ての戦いが静止する夜――シャイネンナハトを控えた昼。
闘争に明け暮れ、むせ返る程の喧噪に覆われたスチールグラードもまた特異な寧静の中にある。
そんな平穏をやぶったのは、少女の声であった。
「ヴァリューシャじゃない!」
「リーヌシュカではありませんの!」
呼ばれて振り返れば、梢の雪がぽそりと落ちる。
「ちょうどいいわ! 勝負しましょ! 今度こそ絶対に負けないんだから!」
大闘技場ラド・バウの試合でリーヌシュカを下したヴァレーリヤは、再戦の約束をしていた。
「ふっふー、いいですわ。今度も負けませんわよ!」
辺りはおあつらえ向きの空き地である。
とは言え街中。それもこんな日であるならば尚更。
\雪合戦/
試合形式は自ずと決まった。
「いきますわよー! どっせぇえい!」
「あたらないわっ!」
雪球を回避したリーヌシュカは僅かに腰を落とし、雪をすくう。
飛来する玉をかわしたヴァレーリヤは、建物に身を隠してもう一投。
リーヌシュカは身を縮めて、小さな塀に姿を隠す。帽子見えてるけど……
十秒か、二十秒か。
じりじりとした僅かな緊張の後。
ぽすん。
背中の小さな衝撃にリーヌシュカが振り返ると、なんとヴァレーリヤが立っているではないか。
「おのれ卑怯よ!」
「ふっふー、油断する方が悪いんですのよ!」
ヴァレーリヤが走り出す。
「待ちなさい! 負けたんだから、一杯くらいおごらせなさいよ!」
ヴァレーリヤの足が止まった。
「わたしはモルスだけど……」
※担当『pipi』