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星降る夜に
星降る夜に
イラストSS
「じゃあ、星を見に行こう。あたしはこう見えても星詠みができるっすよ。
あのクソヤローなんかより、よっぽど素敵でロマンチックで、それで――」
そうして話したのをニアは覚えていた。リヴィエールの大好きをたくさん詰め合わせたお出かけコース。
今度はニアからのお返しだった。砂漠の里はシャイネン・ナハトになるとしんと冷え込んだ。
しっかりと防寒具を身に纏って手を繋いで歩き出す。精霊たちが歓迎するその風を受けながら、ニアは「秘密の場所だよ」とリヴィエールへと囁いた。
「秘密、なんすか?」
「とっておきだよ。風の精霊たちが教えてくれたんだ。
リヴィ、言ってただろ? 星詠みができるって。この輝かんばかりの夜じゃ、星ってどう見えるんだろう」
揶揄う様にそう言ったニアにリヴィエールは「眩し過ぎるっすよ」と小さく笑う。
きらり、きらりと星々が金平糖の様に煌めいている。とても美しくって、とても、素敵で。
手を伸ばせば届いてしまいそうだとニアが指先翳せばリヴィエールが追い掛ける。
「砂の海と、星の海と、どっちが暖かいんだろうね」
「んー……どうなんすかね。あたしはぽかぽかあったかい恰好で星を見ているのが楽しいっすから。
なぁんにも考えてないっす。ニアは?」
「同じ。何も考えてない」
そうやって笑い合って――ふと、その瞳を覗き込めば、瞳の中で星が散っていたんだ。
※担当『夏あかね』