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あの…これは……違うんですの
あの…これは……違うんですの
イラストSS
「同志ヴァレーリヤ。なんだその高そうな酒は」
「えっ」
シャイネンナハトが近い夜。
いつもの炊き出しを終えた、人気の無い教会の一角で。
ヴァレーリヤはアナスタシアにヘッドロックをかけられていた。
正確には、かける寸前のトコロである。
「あ、あの、これは違うんですの」
「やましいことをして手に入れた酒ではないだろうな」
「ととととんでもないですわアリアケで同人誌カタログを売って稼いだおかねであってちょーっとだけ利益率が私に傾いただけであって――」
「やましい酒じゃないか!?」
「ぐええええええ!?」
「あれは――聖女ヘッドロック!」
まだ教会に残っていた老人が劇画調で身を乗り出した。
深く突っ込むと長くなるのでスルーするが、必死に腕をタップするヴァレーリヤから酒を取り上げ、アナスタシアは深くため息をついた。
「まったく。聖夜祭の準備をサボったかと思えばこんなことを……昔から変わらないな」
「いやあ……あはは……」
げっそりしたまま喉をさするヴァレーリヤ。
「まあいい。同じクラースナヤ・ズヴェズダーの徒。過ちも認めて悔い改めれば良いだけのこと。罪なき人などないのだから。
もし間違った道に進んだとしても。私がきっと止めてやる」
「そんな大げさな」
アナスタシアは優しげに笑って、ヴァレーリヤの肩を叩いた。
(だからいつでも助けを呼べ、ヴァリューシャ)
※担当GM『黒筆墨汁』