イラストSS

　ちらほらと雪が降り始めた街角は、今日という日を祝う言葉があちらこちらから聞こえている。
　今日は寒くなりそうだ。手に白い息を吹きかけ、家路を急ぐ少年
の頭に何かがコツン、と落ちてきた。
　緑色の小さな包みに金の縁取りの赤いリボン。
　それは間違いなくシャイネンナハトの贈り物。
「皆様ー！　プレゼントですわ！　良い子の皆様にプレゼントですわよーー！」
　頭上から響いた声の方を向くと、屋根の上にサンタクロースのコスチュームに身を包んだ二人組がいて、次から次へと色とりどりのラッピングがされたプレゼントをばら撒いていた。
　すごい。でも僕が本当にプレゼントをもらってしまっていいのだろうか。
　戸惑う少年に二人組のうちの一人がウインクをして見せた。
「ほらほらっ、遠慮なく持ってお行きなさい！　今日までいい子にしていたんですもの。これくらいのご褒美は当然でございますわ！」
　いい子にしていたご褒美。
　――あぁ、神様はちゃんと見ていてくれるんだ。
　ありがとう、と手を振り駆け出す少年の背中をサンタクロースたちは見送り、互いに顔を見合わせてこう言い合うのだ。
「ふぅ、こういう過ごし方も良いものですわね。ねえ、レルーシュカ」
「ええ、ゆっくり過ごすのもいいけれど、偶にはこういうのも悪くないですわね、タント」
　これが終わったら渡そうと思っていた大切な人への贈り物は、まだ袋の底に大切に仕舞ってある。

※担当『樹志岐』