イラストSS

　サンタ・クロース
　赤いサンタクロース。サンタクロースといえば彼を真っ先に思い浮かべる、子供たちが最も待ち望んでいる存在。
　ジェド・マロース
　青いサンタクロース。精霊に近い存在である彼を見てしまった場合、待っているのは素敵なプレゼントではなく凍死という未来。
　クネヒト・ループレヒト
　黒いサンタクロース。名前の所以は従者（クネヒト）からで、ループレヒトは名前とされる。良い子にはジンジャーブレッドを、悪い子には石炭や木の棒をくれる。
「……と、いうわけで我々がサンタクローズだっ！」
　ふわふわモコモコ、いかにもと言ったようなひげをつけたクリスティアン（赤サンタ）が堂々と宣言する。
　ちなみにサンタクロースの複数形でサンタクローズらしい。なんともわかりやすい。
「……静かに、しないと……子供が、起きちゃう……よ？」
　名前に寒波を意味する言葉をもつジェドマロースに扮したグレイルが赤サンタに釘を指す。
　白銀の毛並みに透き通るような青い瞳と髪が、青サンタらしさをより一層際立たせていて、非常に役にはまっている。
　……さて、役にはまっているといえば。
「んあ？　なんだヨ、そんな見つめられたら照れるだロ？」
　視線を感じた大地（黒サンタ）が両手で頬を覆い『恥ずかしい』と言ったような表情を向ける。
　傍らには悪い子へのプレゼントの石炭の塊がたっぷりと詰まった袋。反対側の手にはいい子へのプレゼントのクッキーが入った小袋。
「……なんでクッキーを食べてるのかな？　黒サンタ？」
「イヤ、いい子へのプレゼントに毒が入ってたら大変だロ？　毒味だヨ、毒味」
「あぁ、なるほど！」
「……」
　なんとまぁ、モノは言いようであると青サンタは長いため息をついた。
　なんとなく理由は腑に落ちないが、赤サンタは納得している上『じゃあ僕にもひとつおくれよ！』と言っているあたり、ほっとくのが一番かもしれない。
　青サンタからの冷ややかな視線を感じたのか、咳払いをひとつして赤サンタは高らかに（然れど子供を起こさないように静かに）改めて宣言する。
「さぁ、僕らのやるべき事をしようじゃないか」
「うん、……みんな、今年は……いい子に、してた……かな？」
「いい子なら素敵なプレゼントを、悪い子なら取って置きのギフトを送ろう」
　問いかけに子供はなんと答えるだろう。
　あぁ、嘘をついて『いい子だった』と言ったって、そんなのは一瞬にしてバレてしまうよ？
　なんてったって、彼らはサンタクローズ。嘘を見抜くのは得意中の得意だからね！

※担当『樹志岐』