イラストSS

　シャイネン・ナハトは雪の季節の真っ最中だ。
　雪散る中、幻想の街中を歩く影は二つ。
「――さぁ行きますよプランクマンさん！　夜はこれからなんですからね！」
　リリファとプランクマンの二人だ。
　両者ともに赤き衣――所謂かな『サンタ』の衣装に身を包んでいて。
　担いでいる白き袋がプレゼントを入れているかのように見える、が。
「やれやれリリファの嬢ちゃんは元気だニャ。風の子かニャ……」
　プランクマンの方はなんかやたら尖っていたり時折中が動いていたりしていて不穏だ。
　先往くリリファはその袋に気付いているのかいないのか。
　まぁいずれにせよこれは実は依頼の真っ最中。ある住所の子供達にサンタに扮してプレゼントを届けてほしいと――合点承知の二人組。
　後方には丸く至った月の顔。
　照らす道は明るく、二人の今日を祝福しているかのようで。
「わ、八件ぐらいありますよ！　これ大丈夫ですかね、なんか距離も離れてますけど！」
「にゃはは。まぁ――なる様になるさね。いざとなれば嬢ちゃんがトナカイになって……」
「なんですかトナカイって！？　乗り物になったって早くなりはしませんよ！？」
　……祝福しているかのようで。うん。
　騒がしい二人組は街を往く。
　楽し気に。シャイネン・ナハトの輝きの中に。

※担当『茶零四』