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ミルフィ モノフォニーのえびによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
ミルフィ モノフォニーのえびによる2人ピンナップクリスマス2019(横)
イラストSS
シャイネンナハトの夜に雪が降っていた。
靴の音がする。整理されたその道を歩く二つの影は、ミルフィとアベルだ。
屈託のない笑顔をミルフィは携え、アベルの手を引き街を往く。
「兄様、兄様! 見て、雪がこんなに……!」
彼女の視界に映る雪結晶――ああ、なんと美しき事だろうか。
今日この日。こうして兄様と出かける日にこのような贈り物が天から届くとは。
「ああ、ミルフィ。分かっているよ。だからそんなに急がなくても大丈夫」
窘めるような言だが、アベルの感情の色はまたミルフィと同じで。
慈しむ様な目で、彼女を見据える。
その首にはミルフィより贈られし防寒のマフラー。
落ち着きのあるスヌードマフラーを纏いて、彼女の暖かさを知りながら街を歩く。
――二人の間に寒さは無い。
繋ぐ手が二人を結び付け、混じる体温には幸福の感情しかなく。
寒さによってこの手が繋がれているのなら――むしろ今暫く寒波を望む所だ。
もう少し、もう少しだけこの歩を続けよう。
美しき銀模様。天からの祝福の中を、もう少し二人で歩きたいから。
シャイネンナハトの夜を――もう少し。
寄り添い歩く二つの影。
互いの首元に輝くブローチが、微かに煌めいた気がして。
ああ。
きっと『信じあう幸福』がそこに在ったのだ。
※担当『茶零四』