イラスト詳細
例えばそれは一つの始まり
例えばそれは一つの始まり
作者 | 朝日奈臣 |
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人物 | ウィズィ ニャ ラァム イーリン・ジョーンズ |
イラスト種別 | 2人ピンナップクリスマス2019(サイズアップ) |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2019年12月24日 |
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イラストSS
――例えば。
貴女と出会わなかったのならば、今日こうして共にいる事はなかったのだろう。
三日月の夜に湯気が昇る。微かな水の音が周囲に響いて。
ここはある温泉宿。共に在ったのはイーリンとウィズィだ。
程良き暖かさが体の芯まで。緩やかな泉の効能が染み渡る様だ――
しかし隣合う二人に流れるは静寂。
どちらから言の葉を紡いだものか。躊躇の心が僅かにあり、それが一時の静寂となっていた。
頬に感じる熱気は、さて。湯の所為かそれとも。
……事の始まりは少し前。ウィズィの方からイーリンをこの温泉に誘った事からだ。
『近しく』なった間柄ではあるもののその関係性は未だ友人の域で。
故に――ウィズィがほんの一歩、勇気と共にイーリンを誘い。
そして『意味』を理解した上でイーリンは此処へとやってきた。
それでもいざ時に至ればまたも躊躇するもので……
「……」
なら、ば。
勇気を初めにウィズィが出したのならば。
次の一手は――信じた私からだろうと決意して。
肩を寄せ、手を重ね。湯船の温度ではなく体温を密着させ。
彼女の――ウィズィへと――
「――」
口を寄せて、呟いた。
なんと言葉を紡いだのか。なんと語らいあったのか。
それは彼女ら二人以外知る由もない。
ただもし、もし。一つだけ言える事があるのならば……
例えばそれは、一つの始まりだったのだろう。
※担当『茶零四』