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新田 寛治のsimaによる3人ピンナップクリスマス2019(縦)
イラストSS
「何、いつまでも恥ずかしがってるの」
「いえ、その、これは、さすがに、ええと……」
「言っとくけどね、姉さんは世界で一番素敵なんだから。
隣に居る私がしんどいから、そんな思い切りの悪い顔をしないでよ」
カノン(p3n000123)の呆れたような表情にリュミエ(p3n000092)は「そ、そんな訳ないでしょう!?」と何とも慌てた顔をするばかりだった。
聖夜――シャイネン・ナハト。
所謂人類圏の世俗的なイベントに変わった感もある時間だが、元々は厳かなものである。
「覚悟が足りない!
いいじゃない、喜ぶわよ。きっと。
あのひと、そういうひとじゃない」
「そ、それはそうかも知れませんけど……」
とはいえ、カノンの言う通り――今年ばかりは深緑の最深部、ファルカウを司る巫女姉妹も華やがずにいられないのは確かだ。全力で世俗に塗れ、色気十分なサンタルックをしなければいけない理由は十分にあるのだ。
「ドアをあけたら、美人姉妹がシャイネン・ナハトよ。
そのまま押し切っちゃえばこっちのもん。
好きな人には積極的でいなくちゃね。
……引き留めておかないと、あのひとどっかいっちゃいそうだし」
「……う、うぐ」
カノンのあけすけな物言いにリュミエは唇を噛んだ。
やがて目の前のドアを開けるクラウスはどんな顔をするだろう――
(笑う……でしょうね。呆れるかも知れません。
意地悪を言って、カノンが頬を膨らめて。私はそれを仲裁して……
でも、でも。なんて楽しい聖夜でしょう。
彼がいて、カノンが居て――満ち足りていて、こんなに幸せで)
リュミエは気付けば淡く微笑んでいた。
難しい間柄だった姉妹の関係もクラウスのお陰ですっかり良くなった。
リュミエは彼を独占する心算も無く。『カノンはクラウスと同じ位にリュミエも愛している』。故に何の問題も無く。
未来は明るく、華やいでいて――
――でもそうはならなかった。
ならなかったんだよ、新田 寛治(p3p005073)。
だからこの話はこれでおしまいなんだ。
※担当『YAMIDEITEI』