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仲良しデート
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イラストSS
――寒い。冬であれば当然であるが、今宵は一段と冷えていた。
幽魅の吐息は白く、天へと上がれば消え失せて。
されど見上げれば雪が映るものだ。ちらほらと、舞い散るそれらに意識が往け、ば。
「わっ……と?」
後ろより衝撃。思わず身が揺れれ、ば。
「ん、ごめんね。びっくりした?」
そこにいたのは金髪の少女……知古のシャルだ。
彼女は幽魅が腕を『挟む』様に身を寄せてきていて。伝わる体温が、ほんのりと。
「わ、わ。いや……その……シャルは、どうしてここ……に?」
「――なんとなく、幽魅がここにいるかなって」
意図せず赤らむ幽魅の頬。シャルは冗談の様な、本当の様な言を紡げば。
どことなく掴ませぬ笑顔の一方で、自らが掴む腕の空間は更に縮めるのだ。
されば寒かった筈の空間はどこへやら。
幽魅の――特に頬の周囲の熱が増す。それは接触が嫌な訳ではなく。
「も、もう……! 動き辛い、から……もうちょっと……!」
「なに、もうちょっと近くに?」
「そう――じゃなくて……!」
輝く街中。これ程煌めくなど……シャイネンナハトの夜は特別だ。
二人で歩く、その中を。お互いの温もりを感じながら。
出会ったこの邂逅を――幸運に思いながら。
※担当『茶零四』