イラストSS

　――クリスマス。それは星降る夜。
恋人達が様々に愛を伝えるその日、もちろんシエラとミラーカも例外ではなかった。


　パーティーの準備や飾り付けをして、窓にこっそり落書きなんかもして。
二人はふかふかのクッションソファに腰掛けた。
色違いのゲーム機を揃いで手に持ち、声を掛け合いながらアクションパズルゲームに励む。

　伝わる互いのぬくもり。

　たとえ外が真っ白な雪に覆われていようと、凍えるような風が吹いていても。
揃いのニットを着て、肩を寄せ合う此処だけ、この時だけは絶対に、暖かい場所であると言える。

「其処。私はこっちのボタンを押さえているから……」

「わかりました、こう……。やった！　出来ました！」

「よくやったわね、流石よ！　ふふ、これは今日中に全部クリアしちゃえるかも」

　最後の隙間を飛び越えて、ギミックをこなした。ぴこん、と音が鳴り、それと一緒に狼耳が跳ねる。
また一つステージを超えた。ぴょこぴょことゲームの中のキャラクターがバンザイをする。
それを見たシエラの純真な、可愛らしい笑顔を微笑ましく見つめ、そっとミラーカが頭をこそぐる。
シエラはギュッと目を瞑って嬉しそうにそれを受け入れた。

　誇らしく掲げられた首輪はおおっぴらな独占欲。
自分だけに向けられる瞳。相手だけに向ける穏やかな顔。

　ささやかで密やかで、そして甘やかな夜は。こうしてゆっくりと更けていく。

※担当『金華鉄仙』