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寄り添うふたつ星
寄り添うふたつ星
イラストSS
待ち合わせの場所は、街はずれの小高い丘の上。
目印は、一本の大きなイチイの木の下。
示し合わせるまでもなく、会うならばここだと思っていた。
「ウィル!」
サティの頬は、寒さでリンゴのように紅潮している。
ここは、街の中で最も空に近い。
この場所のことを知っているのは、ウィルとサティのふたりだけ。
いわば秘密の場所だった。
冬の空は透き通っていた。
ここは、二人の思い出の場所。はじめて少年が雲雀に『魔法』を見せた場所だ。
互いに友人であり、競い合うライバルであり、いや――。
どういったものであるか、まだ答えは出ない。
空を見上げることの意味合いは少しずつ変わってきたように思える。けれど、星の輝きと、二人が隣にいることは変わらなかった。
「ね、ねがいごとはきめてきた?」
「ああ、決まってる。俺の願い事は……」
ウィルが口にした願い事は、優しく冬の空に溶けていった。
ただ、冬の空に輝く星だけが知っている。
ウィルは空に手を伸ばした。サティはそれを見て目を輝かせる。随分と背が伸びた。星たちは、小さなころよりももっと近くにある。
※担当GM『布川』