イラストSS

　街は、とてもキラキラとしていて、色めく世界は眩しくて。
　空を覆う薄暗い雲を淡く照らしている。
　降っては落ちる粉雪はきらめきを反射して、幻想という名に相応しい光景だった。
　ジェイクと幻は、その世界を二人で見ている。
　ふわふわと落ちる雪を手のひらに、瞬く間に溶けて水になり、微少過ぎる水分は肌の熱で気化して消えて。
「寒い、ですね」
　赤い、フリルとレースの目立つドレスを着た幻は、大胆に肌を見せている。濃い髪色と、明るい服のコントラストが美しい。
　その彼女の肌を、冬の風が撫でていた。
「……そうだな」
　そして、風が撫でるのは肌だけじゃない。
　彼女が今夜の為につけた、甘い香水だ。
　それがジェイクの鼻腔を満たして、抑え込んだ衝動をくすぐる。
　欲しい、と。彼は単純に思った。
　ウブな彼女の為にと、我慢している本能が顔を上げる。
「幻」
　背後から抱き寄せ、首筋へと口を寄せた。
　離したくない。
　触れ合う体から伝わる、速すぎる鼓動を感じながら、二人の夜は更けていく。

　※担当GM『ユズキ』