イラストSS

　吹く風は冷たく、服を揺らして。
「おー寒ッ、季節だよなァ……」
　赤羽は歩いている。シャイナン・ナハトに浮かれる街の中を。
　北風の寒さにマフラーを締め直せば、混沌の街中に目を細める。つい先日にはサーカスから蠍の暴力から色々あったというのに、もうお祭り気分とは……いや、悲痛な感情に染まっているよりは大分マシか。
「それにこういうのも……まあ、たまには悪くはないな」
　大地は言う。折角の日なのだから、楽しむべきだと。
　年に一夜限りのシャイネン・ナハト――善き日なのだから、と。

　故に各々の楽しみと言うのはある。

「わーお、いーねいーねお祭りはいーね！　みーんな楽しそうじゃん！」
　屋根を跳ねている。首狩り兎は混沌の街の夜を駆けている。
　深い、蒼き衣に白き袋を抱えて――いや、その白き袋からは何か『突起物』が見える。それに付いている赤黒いモノがなんなのか。さて、あえて説明は避けるが。
「みーんなハッピーな日なんだって？　だからかな。アタシもハッピーな気分なんだよね♪　さぁーって。プレゼントを『受け取り』にいかないとね――♪」
　一切合切に無頓着。故に己がプレゼントの『収穫』を目指して。
　兎は往く。どこかへ。どこへでも――と。

※担当GM『茶零四』