イラスト詳細
この輝かんばかりの夜にーー
この輝かんばかりの夜にーー
イラストSS
星が一つ。ラピスラズリの空から尾を引いて地上へと降り注ぐ。
ランプの明かりが照らす窓の外には雪が舞っている。
研究室を片付けた二人は外出から帰ってきた後、ゆっくりとした時間を過ごしていた。
暖炉の薪が爆ぜる音が聞こえ、シグは手にした本のページを捲る。
隣に座るレイチェルの動きに合わせソファが揺れた。
「なぁ、シグ」
ページを捲る手を止めてシグはレイチェルに向き直る。
「どうしたかね?」
「……」
一瞬の沈黙。何かあったかと本をサイドテーブルの上に置いた。
「ちと目ぇ瞑ってろ」
「何かね、いきなり」
疑問に思いながらもシグは素直に目を瞑る。他人の前で自ら視界を無くすという事は、それだけ相手の事を信頼している証拠。
メガネを取り外され、頬に彼女の吐息を感じた。唇に柔らかい感触を覚える。
不意打ちのキス――
「今読んでた本にこんなシーンがあってなァ。たまには俺からも悪くねぇだろ?」
目を開けると子供のように目を細めて笑う彼女の姿があった。
「……ああ、そうだな? しかし、悪戯の仕返しは……覚悟しているかね?」
「さっきのレモネードでチャラにしてやる」
ココアと入れ替えたそれを覚えていたのかと口の端を上げて。
シャイネン・ナハトの夜は、いつもより楽しげに騒がしく過ぎていく――
※担当GM『もみじ』