イラストSS

　海洋の街々もシャイネン・ナハトのイルミネーションに彩られる。
　インク・ブルーに散りばめられた夜空の星と。水面に揺れるオレンジ色の明かり。
　淡い光の中でまろうとQZはお互いを見つめていた。
「……」
　二人の間に言葉は無い。けれど、そこには溢れんばかりの感情が滲み出ている。
　まろうの瞳に映るQZは微笑んでいた。
　秋の稲穂を思わせる黄金の髪がさらりと揺れる。きめ細やかな肌も顔立ちの整った顔も。
　QZの持ちうる全ての愛情がまろうに注がれているのが分かる。
　シャイネン・ハナトのイルミネーションは恋人をより一層美しく仕上げる魔法のランプだ。
　頬に掛かる白い息も、寒さに赤くなった頬も。忘れてしまいそうになるぐらい。
　全て、全部が愛おしい。

　一年前もこうして星降る夜を共にすごした事を思い出す。
　あの時は高鳴る胸の鼓動が抑えきれなくて、まともにまろうの顔を見ていられなかったけれど。
　今は違う。どんな表情だって見逃さない。

　高い空から同じ目線で地平を眺めたあの時みたいに。
　これからも。思い出を。幸せを積み重ねて。
　それは、なんて幸せで満ち足りたものだろうか。
　触れ合った部分から伝わる温もりが、溶けて、広がっていく――

　※担当GM『もみじ』