イラスト詳細
ニル=エルサリスのにょっけによる3人ピンナップクリスマス2018(横)
イラストSS
「だ、だめじゃ……! さむい……!」
かたかたと震える瑞穂。
出身も育ちも砂漠地帯。雪は珍しいニアが周囲を見て楽しんでいるあいだに元気を溢れさせて居たニルが『つい、うっかり』完成させたのがこのかまくら。
寒くて家に引きこもっていた瑞穂は目の前に見慣れぬかまくらがあるのだから「たまにはよいか」と火鉢を持ち込んで御餅を病んで楽しもうと声をかけた――のだが……。
やっぱり寒かったのだ。
近くの田んぼは雪に埋もれているし、藁葺屋根の家も暖かではあるが、暖かだけでは冬を堪能できない――ふるふると震える田舎の農村でニルは餅をじいと見て居た。
「寒いね」
鼻水を垂らしてがたがた震える瑞穂に布巾を差し出してニアは何時もの民族衣装の上に褞袍を着込みはあ、と手を擦り合わせる。
冬気てもこもことした瑞穂の尻尾。揺れる其れは明らかに寒さを振り払うかのようなものだ。
火鉢の上で手を翳して震える瑞穂は勿論の事、褞袍を着こんでいる。
「ん、んむー……」
びょいーーーんと餅を伸ばし、どてらを羽織りもんぺを履いたニルが懸命に食べようとしている様子が目に入る。
伸び上がった餅を神着る事が出来ずに、懸命なニル。その様子にくすくすとニアは笑い――ひいいいんと瑞穂が声を上げた。
「も、餅も固くなるくらい寒いのじゃあ……」
「でも、冬らしいよ」
楽し気なニアに瑞穂は「こ、これが雪じゃ……」と震えた様に声を漏らす。
「んんんんむんんん」
「え?」
「んんむ」
「なんて?」
餅と戦いながら何事かを言うニルに鼻水を垂らしたままの瑞穂が首を傾ぐ。
「んん、」
「ふゆ」
「んんむ(とても」
「んん」
「いい」
何となく、聞き取るニアにニルがうんうんと頷く。冬はとても楽しいと伝えているのだろう――それにニアは同意だと柔らかに笑みを溢す。
ここ、穂波郷での冬景色は何処までも楽しく……。
その名の由来になった稲穂が波のように揺れる様子はまた次の秋なのだろうが、こうした冬景色もまた田舎ならではで素晴らしいではないか。
ちろちろと流れる水源は少しばかり氷の気配を孕み、吹く風を凌ぐかまくらの中からそっと手を差し出せば雪がちらちらと散ってくる。
「雪……って感覚あんまりないんだな?」
「次は雪合戦でもしてみるといいのじゃ」
「ふふんんふん!」
雪合戦!? と瞳を輝かせたニルに瑞穂がしまったと顔を上げる。
言い出したからにはしょうがない。さあ、楽しく雪合戦の準備を始めてみようではないか。
※担当GM『夏あかね』