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九重 竜胆のまにまにによる3人ピンナップクリスマス2018(横)
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「あら、あらあらあら!」
彼女にしては些かはしたなく――テーブルの上の料理に身を乗り出すようにしたのは薔薇の令嬢リーゼロッテだった。
「ふふん、拙者、頑張って準備したのです!」
「……ま、お嬢様の口に合うかの保証は出来ないけどね。
それに、手作りなりだから」
慣れない場所、慣れない経験に目を輝かせるリーゼロッテに対して(薄い)胸を張ったのはルル家、ちょっと素直じゃない何時もの調子でそう言ったのは竜胆である。
「いいえ、それが良いのですわ」
「おお、そう言ってもらえれば!」
「確かにお嬢様には新鮮かもね」
路地裏のカフェを貸し切り、シャイネン・ナハトの飾り付けをして――事もあろうにリーゼロッテを『招待』した。だが、招待する事に慣れている彼女もされる事は予想外だったのかも知れない。酷く上機嫌な彼女は滅多に見せない少女のような表情を見せていた。
「でも、こんなに準備してくれて……
きっと、大変だったでしょう?」
「拙者達は友人ですから!」
真っ直ぐ極まりない直球の一言である。
ルル家の言うニュアンスは、無論リーゼロッテが繰り返し口にする『オトモダチ』とは違う響きである。冷笑家にして皮肉屋の令嬢が言外に含む毒を屈託の無いルル家は無意識の内に否定しているのだ。
「そうね。これでも友達、なんでしょうから。
こういう事もある。あってもいいのよね。
そうは思わない?」
一方の竜胆はリーゼロッテが滲ませる諦念めいた、或いは自嘲めいた態度、言葉の意味をよく知りながら、それを真っ向から否定している。
「……ええ」
二者二様ではあるが、何れにしても二人の態度や言葉は恐らくはこの恐るべきお嬢様、生粋のお姫様が欲して手に入れ難かったものの一つに違いなかろう。洗練されたそれとは程遠い、手作りのパーティが意味するもの、求めるものはきっと不思議に一致している。
「ええ。ですから、お呼ばれしてみました」
リーゼロッテはふわりと笑い、二人に問いかける。
「この後はどんな驚きがあるのでしょう。
どんな風の時間を過ごすのかしら。
うふふ、私――何だかとっても楽しみ!」
色とりどりのケーキ。
フルーツの乗った大きなタルト。
ローストチキン。
ルル家と竜胆のサンタ衣装。
「ああ、私もそれにしてくれば良かった!」
――うん。史実的にはだから『着た』という事で。
※担当GM『YAMIDEITEI』