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俺の家

俺とテレジアの部屋

俺とテレジアの秘密の部屋
シスターってわりと憧れてたんだけどさ、
コレジャナイんだよな~………

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 その少女の出生について、記録に残るものは決して多くない……それはその時8歳だった彼女がサン・リ・ブラン女子修道院に送られると同時、修道院内に残されるべきものを除いて処分されているからだ。彼女は他の修道女たちと同様に、立派な馬車でこの片田舎の修道院へとやって来た。そして二度と同じ馬車を辺りで見かけたことはない。
 当時、修道院には既に同名の修道女がいたので、少女は『小テレジア』と呼ばれることになった。家名はあったが、決してそちらで呼ばれることはなかった……表向きは、神の前では家柄などは無意味であるため。本当は……誰がどの家の娘であるのかを表に出さぬため。出生も、境遇も語られることはない……ただ、口に出す者こそおらねども、彼女についての憶測は容易く立てることができた。
 その耳が、長く尖っていたからだ。

 人間種が人口の9割を占める天義――聖教国ネメシスの、こと小テレジアの生まれ育った地域では、幻想種の立場は決して良くはない。自然との調和を重んじる彼らは往々にして、天義の信奉する『神の訓え』と立場を異にする。哀れな無知蒙昧の未開種族であったり、時には唾棄すべき異教徒であったりもする――妾腹か、はたまた一夜の過ちかは知らないが、小テレジアが“いなかったことにはできないが、いてもらっては困る”娘であったことだけは疑いようがない。
 もっともそれを言ったなら、彼女以外の修道女らも皆、似たような身の上だったわけだが。明るく振る舞ってみせる彼女がどれほど心細いことかと誰もが知るから、耳の違いなどでとやかくは言わない。自分たちは誰もが“家の体面のために捨てられた”同士であって、楽しく人生を謳歌してやることで貴族社会を見返してやるという、同じ志を持った仲間たちなのだ。
 そんな鬱屈した想いを知っていたから、お祈りや仕事の時には口煩いバb……修道母も、来客のない日の自由時間くらいは、彼女らが修道女の身に相応しくないおめかしをしていてもお目溢ししていた。修道院を管轄する司教でさえもが、彼女らが世俗的にも罪とされるような事をやらかさない限りは、基本的には黙認だった……まあこの12年後に小テレジアはうっかりと、司教にも庇いきれない事件を起こすわけだが。

「……なーんて話を世間に広めたら、わたくし同情でお金ががっぽがっぽになりませんこと?」

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