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俺の家

†常闇のトビラ†

フン……このように狭苦しい場所が、我が第二宮とは、な。

え、あ。あ、あー……。
ええと。どうも……。
今の聞いてました?
ヒェッ……。

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『三周年記念寄稿SS』ティファレティア・ライジング


●1-1
 普久原は鍵を開け、暗い自宅へ入る。
 灯りを付け、靴を脱ぎ揃え、緩んだネクタイを外す。
 違和感がある。
 正体は何だ。
 部屋をうろつき、探し――
 ああ。なんてことはない。エアコンが起動していないではないか。
 帰宅に合わせて部屋が涼しくなるように、タイマーをセットしていたはずだった。

(いつから、そんな習慣になったっけ……)

 それよりなにより、部屋がひどく蒸し暑い。
 これではサウナじゃないか。
 恐らく停電したのだろう。原因は夕刻の落雷に違いない。
 毎年のようにハマる罠なのだが、いざ引っかかるまでずっと忘れている。
 思えば今日は散々だった。通勤電車の行きも帰りも弱冷房車だった気がする。
 今日に限って、よりにもよって。オフィスカジュアルでなく、むさ苦しいスーツという日に。
(……厄日かな。厄年っていつだっけかな。当分先だったような)
 とにかくパソコンの電源を入れ、シャワーを浴びよう。
 部屋はその間に、冷えてくれているに違いない。
 消臭スプレーをしこたまに浴びせてやったスーツは……やはり明日クリーニングに出そう。
 そうでもしなければ、二度と袖を通す気になんてなれない。

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