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銀嶺館

【図書室】魔種について

銀嶺館のどこかにある図書室。

貴方が見聞きした『魔種』についての情報を教えてください。
時にはTOP画面で伝えられる幕間劇や、参加した依頼、気になった依頼の他、自分が感じた事や思った事などを語り合ったりして、魔種の謎や正体に迫って行きましょう。

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<動き出す闇>
 暗い闇の中、一組の男女が佇んでいる。
 常人には目視しかねる深い闇の中、『常人等一瞬で蝕みの中に飲み込んでしまうような泥の中』、男女は涼しい顔を崩していない。
 故に異常。故に危険。泥をものともしないのは、彼等が泥そのものであるからだ。
 周囲を異界に変える根源こそ、麗しい見目を裏切る二つの邪悪に違いない。
「『常夜の呪い』ね。永遠の惰眠を望む等、やはり劣等は劣等に過ぎないな」
「それも、同胞の為す事でしょう? イノリ様のお望みに叶うならば、それも一つ」
 有翼の男の言葉に黒衣の女は温く笑う。
 穏やかでゆっくりとしたその語り口は嗜める調子と軽侮する調子の両方をたっぷりと含んでいる。
 成る程、彼女が『同胞』と称する魔種の何も全て言葉の通りという事になろう。
 彼女にとって『同胞』の為す事等、『イノリ様』のプラスになるかどうかの価値しかないのだろうから。
「フン、心にも無い事を言う。
 しかし、常夜は『怠惰』だろう? カロンの手出しする場所では無い筈なのだがね」
「まさに。面倒臭がりのあの子がわざわざ外に首を突っ込むものですか。
『魔種』は元になった素体の自由意志を強く残します。
 つまりは『常夜』はこのネメシスに何かの因縁か――用があったという事でしょう。
 第一、魔種の活動に完全な制御が効かないのはルストこそ一番知っているのでは?」
 女は男――ルストをからかうようにそう言った。
「貴方がイノリ様の言いつけを守った事が幾度ありますか」。そう言う女をルストは鼻で笑って一蹴する。
「ベアトリーチェ。お前達の如き下位とこのルスト・シファーを同一扱いするのは辞めて貰おうか。
 お前は私達七罪を『被造』としたいようだが――私はそれを是認していない。
 謂わば私は奴のアルター・エゴ。奴も私のアルター・エゴに過ぎん。同一なれば、上下等ある筈も無い。
 気に入らなければ従う道理も無いし、どうしてもと言うならば『どちらが主体か雌雄を決するまで』」
 ルストの物言いにベアトリーチェは肩を竦めた。

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