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銀嶺館
●プワソン・ダヴリル
「銀嶺館の奥にある開かずの部屋で、面白いものを見つけたわ」
4月1日を前にしたある日のお昼過ぎ。『彷徨のナクシャトラ』暁蕾(p3p000647)が、突然妙なことを言い始めた。
その場に居合わせたイレギュラーズたちはそれぞれの手を止め、何事かと耳を傾ける。
「『プワゾン・ダヴリル』どうやらそれが、この本のタイトルらしいわね」
そう言いながら暁蕾はテーブルの上に鎮座した異様な物体の表面を撫でる。それは、本と呼ぶにはあまりに無骨で巨大な代物だった。
テーブルの天板をほとんど覆い尽くすそれは、一見すると騎士の持つ巨大な盾か罪人を閉じ込めた牢獄の扉を連想させる。
鈍くくすんだ金属板に施されたレリーフは、縛鎖に自由を奪われた巨大な獣。捻じれた角と見る者を威嚇するような眼を持つそれは、猛々しい雄羊のように見えた。
金属板の角や縁は分厚く頑丈に補強され、非常に重く、暁蕾の白く細い腕では表紙をめくるのにも一苦労する品物だ。
近くに居たイレギュラーズたちの手を借りて、重い金属板をぶつけてテーブルを壊さないようになんとかページを広げ、中を見てみると……
そのページは真っ黒だった。
いや、単に黒いというより、周囲の灯りを拒絶するかのような漆黒。そこに意味を読みとれるようなものは存在しない。
ページをめくる。
次のページもまた同じだった。そのまた次のページも。
深い空井戸の様に、夜の闇の様にどこまでも続く黒……
不意にページを覗きこんでいたイレギュラーズたちは、その闇がページから滲み出し、呑み込まれたような感覚を覚えた。
(続きます)
「銀嶺館の奥にある開かずの部屋で、面白いものを見つけたわ」
4月1日を前にしたある日のお昼過ぎ。『彷徨のナクシャトラ』暁蕾(p3p000647)が、突然妙なことを言い始めた。
その場に居合わせたイレギュラーズたちはそれぞれの手を止め、何事かと耳を傾ける。
「『プワゾン・ダヴリル』どうやらそれが、この本のタイトルらしいわね」
そう言いながら暁蕾はテーブルの上に鎮座した異様な物体の表面を撫でる。それは、本と呼ぶにはあまりに無骨で巨大な代物だった。
テーブルの天板をほとんど覆い尽くすそれは、一見すると騎士の持つ巨大な盾か罪人を閉じ込めた牢獄の扉を連想させる。
鈍くくすんだ金属板に施されたレリーフは、縛鎖に自由を奪われた巨大な獣。捻じれた角と見る者を威嚇するような眼を持つそれは、猛々しい雄羊のように見えた。
金属板の角や縁は分厚く頑丈に補強され、非常に重く、暁蕾の白く細い腕では表紙をめくるのにも一苦労する品物だ。
近くに居たイレギュラーズたちの手を借りて、重い金属板をぶつけてテーブルを壊さないようになんとかページを広げ、中を見てみると……
そのページは真っ黒だった。
いや、単に黒いというより、周囲の灯りを拒絶するかのような漆黒。そこに意味を読みとれるようなものは存在しない。
ページをめくる。
次のページもまた同じだった。そのまた次のページも。
深い空井戸の様に、夜の闇の様にどこまでも続く黒……
不意にページを覗きこんでいたイレギュラーズたちは、その闇がページから滲み出し、呑み込まれたような感覚を覚えた。
(続きます)
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予約開始日時:近日 参加人数:8人(少なくても決行します)
相談期間:7日 参加費:無し