あなたはこれを覗くというの？

【羊と狼】
https://rev1.reversion.jp/scenario/ssdetail/342

わかっていた、わかっていた。
断られる事は。

私自身の力不足で他の傭兵方にも笑われて
まだ唇を噛むくらいしか出来ない私ではダメだって。

でも、あの方は『まだ』と言ってくれた。
とても、意外だった。

『テメェを慕う女に怪我なんてさせたかない』と言うのは
きっと彼なりの気遣いの言葉だろう。

それでもその後に『精々期待して待ってる』と
言って貰えるとは思っていなかった。

「それすら……お世辞かもしれないけれど……」

せめてあの傭兵方を言い返す事が出来るまでにならなくては。
門を叩きに行く度に緊張してはまた笑われてしまうし……
強くなる以外にも、心を強くしなければならない。

笑われるのは……もう嫌だもの。

ふとあの薄気味悪い女の笑いを思い出して首を横に振る。
元の世界での事なんて今はもうどうでもいい。

とにかく今は自分に出来る事を。
心体共に強くならなければ……！