ギルドスレッド スレッドの一部のみを抽出して表示しています。 Doctor's Lab 【第二次】幻想具現部屋・戦闘記録【ディエゴ】 【艦斬り】 シグ・ローデッド (p3p000483) [2017-10-11 16:22:05] 「ふむ。ここにやって来るとは、…良い度胸だなッ!」 無数の影が押し寄せているその砂漠は、男の故郷であった。 ――故郷と言う物は、人にとって特殊な意味合いを持つ。 例え久しく、訪れていなかったとしても。例え、そこに苦い記憶があったとしても。 人は常に、故郷に愛着を持つものである。 ――ジャケットを脱ぎ、投げ捨てる。筋骨隆々の上半身が、灼熱の太陽が下に、燦燦と照らされる。 その筋肉には汗一滴這わず、砂漠の灼熱の中でも、尚快適な自室に居るかのような様相を見せる。 それもそのはず。男、ディエゴ・ソル・ケレウスの能力――『我が道を開くは我が肉体也』―ーは。言わば『適応性』。条件を満たしていれば、如何なる灼熱、如何なる極寒の中であろうと、彼にとっては快適な環境なのである。 その条件が、『上半身裸である事』と言うのは、何とも…ではあるのだが。 目の前の無数の影を見ても、ディエゴに怯む様子はなし。「ふん…ッ!」 踏みしめた大地が、丸で爆弾でも落とされたかのように、巨大な砂煙を上げる。 それに乗じて突進し、一気に距離を詰める! 影たちにもまた、動揺はない。それはこの行動を予想していたからか、はたまた――そもそも感情と言う物がないのか。 ただ単純に、腕を刃に変化させ、目の前の砂煙の動きに合わせて、振り下ろすのみ。「甘いわッ!」 刃は空を切り、砂にめり込み更なる砂煙を巻き上げる。 紙一重。刃がかすめる前に、横に滑るようにしてディエゴは移動し、そのまま足払い。 転倒した影へ、回転の勢いそのままに跳躍。踏みつける様な踵落としが、深く敵を砂の奥底に埋め込む。 感情無き影が、仲間の死に心を動かされることはない。ただ、猛攻を続けるのみである。 突き出された槍を、ディエゴは脇の下に挟み込み――「フンッ!」 そのまま、手刀で叩き折る。 円を描くように折れた影槍を振り回し、突き出される無数の他の槍を上に向かって弾き上げる。「俺は常に持つ側にいる。強靭な肉体を持ち、貴様らの武器すらも俺の物となるのだッ!」 強く地面を踏みしめる。力の波動が、その足。その胴体。そしてその腕に走る、限界まで膨張した筋肉を伝い、手の一点…槍に集まる!「――リャァァァ!」 その手から離れた槍は、一瞬にして弾丸と化す。音速で近い速度で飛行するそれが、瞬時にまるで串焼きのように次々と影を貫き、遥か彼方へと消えていく。 武器を手放したディエゴに襲い掛かるべく影たちが押し寄せるが、そこに彼の姿はなく。「ここじゃ!」 その姿が現れたのは、先ほど槍の投擲で切り開かれた『道』の中。 彼は投擲と共に、槍の後ろにつかまり、前へと飛んだのだ。 恐るべき身体能力である。 スライディングで影たちの足元を通り抜け、そのまま挟み込むように足で攻撃し、転倒させる。そのまま腹部へのパンチで行動不能にし、担ぎ上げる。「どけどけぃ!」 担いだ影を盾のようにし、突進するディエゴは、まるで猛牛の如く次々と影をなぎ倒して行き――「はぁ、はぁ…っ、これで最後か…ッ!」 最後に立っていた男の周りには、無数の影の残骸。彼自身も満身創痍である。如何に回避に優れていようと、数の前に完全に掠りもしない――とは行かず。特殊な防衛能力を持たない彼では完全に防ぎきる事も出来ない。 ――だが、それでも彼は勝利した。 圧倒的な数の敵を前に。特殊な能力無くして、ディエゴ・ソル・ケレウスは――勝利したのである。 →詳細検索 キーワード キャラクターID 検索する キャラクターを選択してください。 « first ‹ prev 1 next › last » 戻る
無数の影が押し寄せているその砂漠は、男の故郷であった。
――故郷と言う物は、人にとって特殊な意味合いを持つ。
例え久しく、訪れていなかったとしても。例え、そこに苦い記憶があったとしても。
人は常に、故郷に愛着を持つものである。
――ジャケットを脱ぎ、投げ捨てる。筋骨隆々の上半身が、灼熱の太陽が下に、燦燦と照らされる。
その筋肉には汗一滴這わず、砂漠の灼熱の中でも、尚快適な自室に居るかのような様相を見せる。
それもそのはず。男、ディエゴ・ソル・ケレウスの能力――『我が道を開くは我が肉体也』―ーは。言わば『適応性』。条件を満たしていれば、如何なる灼熱、如何なる極寒の中であろうと、彼にとっては快適な環境なのである。
その条件が、『上半身裸である事』と言うのは、何とも…ではあるのだが。
目の前の無数の影を見ても、ディエゴに怯む様子はなし。
「ふん…ッ!」
踏みしめた大地が、丸で爆弾でも落とされたかのように、巨大な砂煙を上げる。
それに乗じて突進し、一気に距離を詰める!
影たちにもまた、動揺はない。それはこの行動を予想していたからか、はたまた――そもそも感情と言う物がないのか。
ただ単純に、腕を刃に変化させ、目の前の砂煙の動きに合わせて、振り下ろすのみ。
「甘いわッ!」
刃は空を切り、砂にめり込み更なる砂煙を巻き上げる。
紙一重。刃がかすめる前に、横に滑るようにしてディエゴは移動し、そのまま足払い。
転倒した影へ、回転の勢いそのままに跳躍。踏みつける様な踵落としが、深く敵を砂の奥底に埋め込む。
感情無き影が、仲間の死に心を動かされることはない。ただ、猛攻を続けるのみである。
突き出された槍を、ディエゴは脇の下に挟み込み――
「フンッ!」
そのまま、手刀で叩き折る。
円を描くように折れた影槍を振り回し、突き出される無数の他の槍を上に向かって弾き上げる。
「俺は常に持つ側にいる。強靭な肉体を持ち、貴様らの武器すらも俺の物となるのだッ!」
強く地面を踏みしめる。力の波動が、その足。その胴体。そしてその腕に走る、限界まで膨張した筋肉を伝い、手の一点…槍に集まる!
「――リャァァァ!」
その手から離れた槍は、一瞬にして弾丸と化す。音速で近い速度で飛行するそれが、瞬時にまるで串焼きのように次々と影を貫き、遥か彼方へと消えていく。
武器を手放したディエゴに襲い掛かるべく影たちが押し寄せるが、そこに彼の姿はなく。
「ここじゃ!」
その姿が現れたのは、先ほど槍の投擲で切り開かれた『道』の中。
彼は投擲と共に、槍の後ろにつかまり、前へと飛んだのだ。
恐るべき身体能力である。
スライディングで影たちの足元を通り抜け、そのまま挟み込むように足で攻撃し、転倒させる。そのまま腹部へのパンチで行動不能にし、担ぎ上げる。
「どけどけぃ!」
担いだ影を盾のようにし、突進するディエゴは、まるで猛牛の如く次々と影をなぎ倒して行き――
「はぁ、はぁ…っ、これで最後か…ッ!」
最後に立っていた男の周りには、無数の影の残骸。彼自身も満身創痍である。如何に回避に優れていようと、数の前に完全に掠りもしない――とは行かず。特殊な防衛能力を持たない彼では完全に防ぎきる事も出来ない。
――だが、それでも彼は勝利した。
圧倒的な数の敵を前に。特殊な能力無くして、ディエゴ・ソル・ケレウスは――勝利したのである。