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人でなし連合『HNR』

水切り豆腐カレー物語

 "豆腐を水を切ってソテーしたものにカレールーをかける"『水切り豆腐カレー』を食すべく、カレー馬鹿の【鮫島 寿彰】は豆腐を捕獲しに、生きている天然の豆腐が生息するという『島腐(とうふ)』へと旅立った……
 島腐には数多の豆腐達が自由気ままに暮らしており、島全体がまるで豆腐料理のようだ。普通の麻婆豆腐より100倍もの豆腐が入っている麻婆豆腐の湖『麻婆湖』、水が滴り、まるで取り立ての葉物野菜のように瑞々しいく、夏でも涼しく寝れる冷奴の布団『冷や冷やっこ布団』、頂上からトロトロの餡掛けが湧き出で、豆腐の山を包み込んでいる豆腐あんかけの山『あんかけ豆腐マウンテン』等、そこはまるで豆腐パラダイスであった

 世はカレー時代ーー

 カレーをどう食べるか、どれだけ美味しいカレーを食べられるか、カレーを極めし者は世界を極めると言われている。人々はカレーに合う食材を求め、探求する時代

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●BIG SILK
「ここは……どこ?」
目を覚ますと辺り一面銀世界……ではなく豆腐世界であった。傍で一緒に流れ着いていたぬいぐるみを抱き寄せ、イーハトーヴ・アーケイディアンはヨロヨロと立ち上がった。どうやら乗っていた船が難破し見知らぬ島に流されてたようだ
「不幸中の幸い、なのかな」
 水が滴り落ちる大きな絹ごし豆腐たちを不思議そうに眺めながら、イーハトーヴはぽつりと呟いた。このまま無事帰れるのだろうか、自分はどうなってしまうのか。そんな漠然とした不安で胸がいっぱいになる
「ねぇ、無事に帰れるよね?」
 イーハトーヴはぬいぐるみを持ち上げ話しかけた
『大丈夫だよ。心配しないで』
 ぬいぐるみの声を聞いたイーハトーヴの気持ちは少し落ち着いた。大丈夫だ、きっと大丈夫。そう自分の胸に言い聞かせる
 ゴゴゴゴゴゴ
 その時、近くから物凄い大きな音が聞こえてきた
「え、何!?」
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
 音は益々大きくなって響いてくる。ぬいぐるみをしっかりと抱きしめ、イーハトーヴは辺りをキョロキョロ警戒する
「あ! あれは……!」
 イーハトーヴの視線の先にはなんと、二足歩行で立っている先程の絹ごし豆腐がぽたぽたと水を垂らせていた
「ど、どうしよう」
 恐怖で足が動かないイーハトーヴは恐怖からへなへなとその場に崩れ落ちてしまう
「あ! あれは捕獲レベル34の巨大な歩く絹ごし豆腐であります! その瑞々しさと新鮮さから歩く畑の王様とも呼ばれているであります! その名も『BIG SILK』!!!!」
「名前そのままじゃないかっ! でも、美容とか健康に良さそうだね」
「あ、あれが水切り豆腐カレーの豆腐ですか?」
 崩れ落ちるイーハトーヴの背後から三人の男の声が聞こえてくる
「いやぁ、どうでありましょう。食べてみないことには何とも」
「それじゃあ捕獲してみるとしようか」
「了解しました!」
 そして、声の主達である三人がイーハトーヴに笑いかけた
「大丈夫でありますか?」
「う、うん。大丈夫」
 鮫島の大きくゴツゴツした手に引っ張られ、イーハトーヴは立ち上がった。自然とさっきまでの恐怖はない
「俺も戦えるよ」
「そうかい? じゃあ共に戦おうではないか」
 四人はBIG SILKに姿勢を向ける
「それでは、世界中の全ての食材に感謝し、頂くであります!」

「「頂きます!」」

 BIG SILKとの戦いが今、幕を開けた

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