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Deserted House

野草の庭

道路に面した庭には、野草と見紛う草木が好き勝手に生えている。
恐らく元の持ち主が植えたものだろうが、家主(もどき)に手入れの意思はないようだ。
放置された自転車は雨ざらしなのかすっかり錆びついている。

木の板の欠けた縁側には壊れた風鈴がぶら下がり、季節を問わず音を立てる。
庭と道とを隔てていた筈の塀はとうに崩れ、自由に出入りができるようになっていた。

あなたがこの近くを歩いていると調子外れの鼻歌が聞こえてくるかもしれない。
家主のような顔(?)をした少女は、雨の日も晴れの日も寒くなければよく縁側に座っているようだ。


庭に入ってくれば少女は真っ先に気付くだろう。
ただし、ここは草木のぼうぼうに生い茂る庭である。虫には十分注意されたし。

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ふむっ。年季が入っておりますのはよいことですわ!
それにジェック様も、気に入って住まわれているのでしょう?
良い家かどうかは‪──ええと、‬ともかく。(雨漏りの話を聞いて、一瞬確認するように天井を見上げ)
良い家だからではなく、この家が良い、と思われて住まわれているのでしょう?

(寒がる様子に、あら?と首を傾げて。お尻を上げてぽすんと傍に寄り。軋む縁側)
誰かの太陽に……ええ、ええ!!そうでありたいと思っておりますわ!
差し当たって今はジェック様の太陽になれればと!わたくしはあったかいですわよー!

(ふわわっと光りながら傍らの少女に手を翳す。まさに太陽光のような優しい温かさを、寒がっている友人へと。“フリ”だとは、気付いていない)

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