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Deserted House

古寂れた居室

人通りもない寂れた通り。
元は住宅街だっただろう家々は古く、中でも一等朽ちた家が建つ。
ところどころ補修の跡があるその家は大きく、元は立派な屋敷だったことが窺える。
けれど、草木が伸び放題の庭に一部欠け落ちた壁、取手の外れた扉からは最早威容の一片も感じられないだろう。

人の気配は感じられず、物音も聞こえない。
扉は最早鍵もないのかプラプラと揺れている。

その奥に見えるのは居室だろうか。
古寂れた絨毯は虫食いで、置いて行かれたドレッサーに付いているのは割れた鏡。

人が寄りつくことは殆どないだろう。

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(隙間風の吹く屋内で、風よりも空気が動く。軋む扉を開け、手提げと共に帰ってきた)

……さて、どうしようかな……。
(まだ寝ているだろうという考えか、そのまま台所へ向かう。当然のごとくに古びているが、火を付けられれば使えないことはない。
 あの様子だとろくなものも食べていないに違いない。消化に良いものがいいだろうか)

(姿こそ見えないものの、隙間だらけの壁が料理の音を伝える。小気味いいリズムを奏でているのは何かを刻む音のように感じるかもしれない。
 やがて漂ってきた香りが鼻腔をくすぐるだろう)

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