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Deserted House

古寂れた居室

人通りもない寂れた通り。
元は住宅街だっただろう家々は古く、中でも一等朽ちた家が建つ。
ところどころ補修の跡があるその家は大きく、元は立派な屋敷だったことが窺える。
けれど、草木が伸び放題の庭に一部欠け落ちた壁、取手の外れた扉からは最早威容の一片も感じられないだろう。

人の気配は感じられず、物音も聞こえない。
扉は最早鍵もないのかプラプラと揺れている。

その奥に見えるのは居室だろうか。
古寂れた絨毯は虫食いで、置いて行かれたドレッサーに付いているのは割れた鏡。

人が寄りつくことは殆どないだろう。

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(混沌に来たばかりの頃に居着いていた家。今はもう住まいも移してしまっているが、それでも時折様子を見に行っていた)
(この日も同じく、数ヶ月ぶりに足を運ぶ。手入れをするわけでもなく、何をするでもなく。本当にただ『見るだけ』ではあるが)

……ん?
(最早慣れた道。ぼんやりと歩いていると、廃屋のすぐそばに、何かが落ちているのが見える)

…………んん?
(近付くにつれ、人のようである、と分かる。行き倒れだろうか、死んでいては厄介だ、等と思いながらも歩みを止めず)

おーい、生きてる?
(声の届く位置。倒れているそれはうつ伏せで、立ったままでは顔は見えない。しゃがみ込んで覗き込みつつ、服装の既視感におや、と思う)

もしかして……ヴァイオレット?
(肩部分に手を当て、ゆさゆさとゆすろうとするだろう)

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