アナタは戸口を開けた。
其処に羅列するのは『像』で在った。
病的な雰囲気に塗れた『像』には。

動くような気配。

我が作業場は客だけを歓迎する。

（るりら、るりらと異国の言葉が唇を震わせる。
　崩れないバベルがその意味を次々に翻訳するが、
　――はたして音の連なりまで翻訳できるのだろうか。
　吟遊詩人特有の歌物語の終いを口にしようとしてから、にっこりと笑う。
　思いついた。と子供のように笑う。
　それはまるで、ここの主のような、口調に似せて）

……♪かくして、『物語』は綴られた。