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博物館の恐怖

テネブラエ
アナタは戸口を開けた。
其処に羅列するのは『像』で在った。
病的な雰囲気に塗れた『像』には。

動くような気配。

我が作業場は客だけを歓迎する。

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 この異世界にやってきたとき、得物はもっていなかった。
 着衣以外は手ぶら。このため、初期装備探しを熱心に行っていた。
 金属が苦手が故に、石工、木工、骨工が中心である。欲しいものが売っていないのだから自分で作るしかないのだ。
「こんなものだな。金属ほど文明的ではなく、棍棒ほど非文明的ではない」
 木工と骨工は別所で行っているが、石工は道具が揃うこの場を利用させて貰っていた。
 創意工夫と少しの書物の知恵から、卑鉱石材という卑金属成分を含む半合金石材を、手前で拵え、ごりごり、と武器のようなものを削り出した。
 峰に相当する部分が鋸状になっている鉈だ。鋸鉈だ。猟奇的である。
 石工道具をオラボナから借りていること、そして恐怖が吸う息吐く息に宿るこの場の空気によって、魔性が宿っているのかもしれない。

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