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Tiefer Wald

深い森

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【ルツに関する資料】
王族の生まれで礼儀やマナーに重きを置く。
黒竜だと判断された幼い頃から次期魔王として教育され
そんな毎日に嫌気がさしていた。

いざ魔王になってみても、空っぽの心は満たされない。
そんな時、とあるパーティでその世界で初めての甘味が出た際
この世のものとは思えぬ衝撃を受けたようで
それ以来隠れては食べていた様子。
そのお供は紅茶のアールグレイであった。

彼は異世界について興味津々だった。
部下からするとそれは新たな世界の侵略か?と期待させる行動だったが
そんな事は全く頭になく、ただ純粋に羨ましがる日々。
こんな平和な世界が本当にあるんだろうか?
自分の世界ではありえない世界観に出会っては
憂鬱なため息を漏らしていた。



彼は魔界では珍しい平和主義者だった。
部下達の殆どはその事に気づいていないが
使用人や彼に近い者はそれに気づいては教育する。
「あなたは魔王なのだから」
「魔王であるあなたがそうでは部下達に示しがつきません!」
そんな言葉が飛び交う。
彼は魔王と言う座を捨てたくて仕方なかった。

百年毎に一応勇者と呼ばれる者は現れる。
彼等を前にしてルツは素の状態、武装状態、巨大な竜になって戦う。
ラスボスにありがちな段階戦闘。
だがここでの勇者は脆く、竜になる頃にはワンパンの状態。
彼等が「かんすと」してもその状態になる。
彼らにとって「負けイベ」にも等しい力の差。
ルツもまたそんな差にまた嫌気がさす。

「ちーと」じゃない世界にいきたい
皆と「びょーどー」な世界が良い。
本の中にある世界が本当にあるのなら、連れて行ってくれ。

そう念じた後
彼は強い光に包まれた。

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