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旋律境界

【日記帳】

リアの私室に置かれている日記帳。
怠惰な彼女の日々の記録。

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 領地運営の真似事をしてから時間が流れるのが早い。
 ドーレやミファーがあたしに気を遣って、院でのあたしの負担を減らしてくれているから代わりにそっちに時間を割く事ができる。
 だから素直に感謝の意を示したのに、何故かドーレは顔を真っ赤にして怒っていた。
 ただ、音色は嬉しそうだったので、まぁいいかと放っておく事にする。
 
 そんな中、ここ最近セキエイの流通路に盗賊が出ているという話を商工会から聞いたので、今回あたしがそれの解決にあたる事にした。
 最近、書類と睨めっこしてばかりだったので、気晴らしに丁度いいと思ったのだ。
 勢いで受けたのでノープランだったが、修道女が一人でフラフラ出歩けば釣れるかと思っていたが、まぁその考え通りあっさり連中釣ることができた。
 そして、なんか連中ごちゃごちゃ五月蠅かったので、とりあえずは殴って黙らせることにした。
 大丈夫、加減はちゃんとしたし。
 最近覚えた腕ひしぎ十字固めってのを試してやったら、変な悲鳴を上げて直ぐに大人しくなった。
 その後、連中の話を聞いてみたら、かつての幻想蜂起で寄る辺を失った人達が身を寄せ合い、やむなく盗賊として生きていくしかできないと嘆いていた。
 彼らの音色はどれも悲しげで嘘を言っているようには思えなかったし、このまま憲兵に突き出すのもどうなんだろうかと、私はつい思った。
 なので私は、彼らを労働力として雇い入れるというのはどうか、提案した。
 彼らはその提案を受け入れてくれたし、丁度、治安維持の為に自警団を結成したかったという話も商工会で出ていたので、丁度いいと思ったのだ。
 ただ、最初は商工会はいい顔をしなかった。
 なので、私が自分の資産で彼らを直接雇うという事にして、更にオクターヴさんが商工会を説得してくれたので、何とか私……と、オクターヴさんが責任をもって管理するという事で、彼らを雇い入れる事への賛同を得た。
 自警団が欲しいとか言っていた癖に、本当に面倒くさい人たちだ。
 盗賊団よりも、こっちの旋律の方が気に食わない。

 ともあれ、元盗賊団改め自警団の彼らの安心したような穏やかな音色が聴けるようになったのはとても嬉しい。
 これから、彼らが自分の力を存分に発揮してくれることを期待している。
 ただ、何故か私の事をお頭だの姉御だの呼ぶのが気に食わないので、そこは後で彼らの身に直接しっかり教え込んでおこうと思う。

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