PandoraPartyProject

ギルドスレッド

木漏れ日の中で

一周年記念SS

※注意※

PPP一周年記念SSですが、設定なにそれ美味しいの状態のご都合主義となっております。
基本的にIF世界、ここじゃないどこかの誰か、夢オチ、そんな感じの時空です。
心理描写重視、若干のドロドロ展開、戦闘(仮)があります。
また一部性格が変わっていたり、役割や登場回数に偏りがあります。
登場する方は友人同士(カップルの方はそのまま)の仲の良さに補正されています。
おそらく二部構成となります。

上記ご了承ください。


Special Thanks!(敬称略・ID順)登場許可を頂き有難う御座います。
極力口調等に気を付けていますが、問題がある場合は連絡頂ければ修正致します。


焔宮 鳴(p3p000246)
ポテト チップ(p3p000294)
リゲル=アークライト(p3p000442)
シエラ バレスティ(p3p000604)
ミスティカ(p3p001111)
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
飯喰 幸奈(p3p001224)
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
コゼット(p3p002755)
アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
すずな(p3p005307)


NPC

ざんげ(p3n000001)
レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)
ユリーカ・ユリカ(p3n000003)
ショウ(p3n000005)
ラーシア・フェリル(p3n000012)
リリィ=クロハネ(p3n000023)
リーゼロッテ・アーベントロート (p3n000039)

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自然と共に生きる穏やかな日々。無償の愛を注いでくれる両親。優しく手を差し伸べてくれる愛すべき隣人達。まるで陽だまりのような世界。
何の疑いも持たずに日々を過ごし、自分も皆と同じようにここで一生を過ごしていくんだろうと、なんとなくそう思っていた。

それは突然訪れた。昼か夜かもわからない。自分が寝ていたのか起きていたのかすらわからない。

見えたのは炎。
灰に覆われた銀色の空。

訳などわかるはずもなく、ただひたすらに燃える自然を、燃え朽ちていく愛しいモノ達を見ていた。
気が付けば何処とも知れぬ場所で死にかけていた。
自分があの場所で燃えなかったのはきっと誰かが、愛しい誰かが身を挺して逃がしてくれたからだろう。
それが誰だったのか、隣人だけでなく両親すらも顔を思い出せない。
全てが炎に飲まれ灰になって崩れ去っていく。この瞳に映るのは炎と灰に覆われた銀色の空のみだった。
この身はまだ子供。何も理解など出来ない。だが、忘れたとしても消えることはないだろう。
その身は焼かれずとも、同胞を、故郷を焼いた炎は、確かにその子供の心を焼いていた。
例え自分ですら気付かぬとも、消えることのない圧倒的な恐怖は炎として、心に消えない火傷を残していた。

そこでリリィ=クロハネは目を覚ました。
(……この夢は何かしら?私のギフトだとは思うけれど、予知夢というよりも誰かの過去のような)
リリィのギフト『夢境界』は予知夢のような情報を繋がりなく断片的に見るというもの。
今回見たのは明らかにそれに該当しない。しかしここまでリアルに、それも感情を伴って見る夢などあるのだろうか。
わかるのはおそらく同胞、幻想種の者についての夢だということ。そして同胞達が住む集落が燃えてしまうということ。ならば場所は深緑のどこか。
一先ず情報の確認と合わせて相談してみようと準備を始める。
自分の心までも炎に焼かれたような辛さと、目の前の光景を見ているしか出来なかった子供を想うと泣いてしまいそうだから。
今日はローレット主催のパーティーが催されていた。なんでもローレットが発足して一周年の記念パーティーだとか。
場所はリーゼロッテ・アーベントロート嬢が用意してくれたらしい。なお費用は本人が知らぬ間にレオン・ドナーツ・バルトロメイにツケられていた。
レオンは柄じゃないと言いながら周りに押され適当な感謝の言葉を述べ乾杯と音頭を取る。それを機に集まったイレギュラーズは各々楽しみ始めたようだ。

イレギュラーズの喧噪から少し離れたところにリリィが事前に聞きたいことがあると声をかけたメンバーが集まっていた。
「それで、何かあったのか?」
レオンが口火を切る。リリィの雰囲気からあまり良くないことだろうと予想をしながら、普段はどこか大人ぶっているこの少女が自ら相談を持ち掛けてきたことに驚きと共に成長を感じていた。
リリィは一度目を閉じ気持ちを整理するように一つ間を置いてから口を開く。
「幻想種の集落が燃えてしまう夢を見たわ。原因は不明。おそらく生き残りは少年一人。私が知っている範囲では深緑以外に幻想種の集落のある場所は知らないわ。何か心当たりはないかしら?」
内容にそれぞれが難しい顔をする。幻想種は深緑から基本的に出ない。それが集落を築くほどとなると必然目立つことになる。
「オレの方ではそういう話は聞いたことがないよ。ユリーカはどうだい?」
ローレットに属する腕利きと評判の情報屋ショウ。彼でも何も知らないとなると違う情報源を持つ者に聞くしかない。
比較的イレギュラーズなど人と関わる機会が多いユリーカ・ユリカに誰かそういう話をしていなかったかと問いかける。
「ボクも聞いたことがないのです」
むむむと必死に記憶を手繰るがそれらしい話を聞いた覚えはない。まだまだ見習いだという自覚があるからこそ頼られたならなんとか応えたい。そんな思いが溢れていた。
その様子に若干の親心のようなモノを感じつつ頭をぐしぐしと撫でつけレオンが口を開く。
「俺も覚えがないな。順当に考えりゃ深緑のどこかにある集落ってことになるだろうぜ」
やっぱりそうよねと呟きつつもどこか釈然としない様子のリリィの様子にそれぞれ改めて何か手掛かりがないかと考える。
敏腕情報屋、人との繋がりを持つ者、歴戦の猛者が揃っていてもどうやら答えは出そうにない。
そんな時レオンのポケットから声が聞こえる。
「いい加減この狭くて暗い場所から出しやがれでごぜーますよ」
いきなりの事にそれぞれびくっと驚き視線がレオンに集中する。ポケットから出したそれは円形の金属のなにか。その中央に空中庭園にいるはずのざんげが手の平サイズになって立っていた。
悪いと謝りつつ驚く面々にこの金属の説明をする。なんでも練達から流れてきたよくわからない機械をイレギュラーズのとある人物が好奇心に任せて弄った結果出来上がった、結局よくわからない代物、らしい。
「電波がどうのホログラムがどうの言ってた気がしやがりますが、よくわからんものはどこまでいってもよくわからんということでごぜーます」
いつでもどこでもざんげと連絡が取れるわけではなく、何かしらの要素が上手く絡み合った時にだけこうして通信が出来るようで実用には程遠いとのこと。
「まぁそんなことはどうでも良いんでやがりますよ。私が見たところリリィさん、気になってることは他にもあるんじゃねーですか?」
図星を突かれうっという表情を思わずしてしまう。流石にそこまで表情に出してしまえば皆が気が付くというもの。
「さんげオマエよく気付いたな」
「オレも気付かなかったよ」
「ボクも全然です……」
皆リリィにとっては同胞のことだからと深く考えなかっただけで、普段との違いには気付いていた。
「乙女ならこれくらい気付いて当然でごぜーます。野郎共がダメダメなだけでやがりますね」
乙女ってオマエと口に出しそうになったのを飲み込み、オレもまだまだだなぁと思い、1人の乙女の心に多大なダメージを与えていた。
その様子に苦笑しながらざんげなら何かわかるかもしれないと訊ねる。
「ざんげちゃんなら何かわからないかしら?いつもの夢となんだか違っていたのよ。まるで誰かの出来事をそのまま見ていた感じだったわ」
ふむと顎に手を当て考えること数秒。
「ぶっちゃけるとわからねーです。ギフトに何かしらの変化があったのか、それとも全然関係ないただの夢なのか。夢というモノ自体あやふやなモノでやがりますからね。私に言えるのは『夢に飲み込まれるな』くらいでごぜーますよ」
確かにギフトを有効活用してきたリリィには見る夢全てがギフトによるものだと思ってしまっても仕方ないこと。
なら今回の夢はギフトとは関係のない、ただの夢、なのだろうか。
今は気に留め情報がないか気を配るくらいしか出来ることはなさそうだ。
「あら。今回の催しの主役はローレットのオーナーとそれに準ずる方々だと思っていたのだけれど、そんな隅で何をしているのかしら?」
巷で精悍な若き騎士を一撃で跳ね上げ重傷を負わせたと有名なリーゼロッテ・アーベントロート嬢が遅れてやってきただけでなく目敏く集まりを見つけ声をかけてくる。
ここに居るのは情報を扱う者とその上司に当たる者。ざんげはリーゼロッテ嬢にだけ聞こえないように腱鞘炎用の湿布やサポーター、痛み止めを差し入れやがれでごぜーますと言って既に姿を消していた。
会場はリーゼロッテ嬢が手配した場所でありローレットととも縁のある彼女が顔を出しにくることは何もおかしいことではない。
だが噂の事実の細部を知っている面々にはよくわからない緊張感が漂っていた。
特別リーゼロッテ嬢が不機嫌という感じはしない。むしろ変な表情で固まっている彼らを見て可愛らしく小首を傾げている姿はとても愛らしい。
だがそんな可愛らしいリーゼロッテ嬢の姿とは裏腹に、彼らの内心は何故かこの御令嬢の疑問への返答を間違えれば自分も跳ねることになるという恐怖心が渦巻いていた。
こんなイメージを植え付けた彼の騎士の罪はさぞ重いことだろう。不敬罪的なアレは大丈夫だろうか。
一方で盛り上がるイレギュラーズの面々。
リーゼロッテ嬢の登場に気付いた青年騎士の顔色が青くなったり赤くなったりしているが、慈愛に満ちたフィアンセに任せておけば大丈夫だろう。
とあるテーブルの上の料理が高速でなくなっては追加されを繰り返していた。半分は肉類でもう半分はデザートばかりなのは気のせいだろうか。
九重 ききょうが世話しなく双方のおかわりの要求に応えているが本人が食べる余裕は明らかにない。
「もう!ちょっと飯喰さん!それにユーリエさんも!食べ過ぎだよ!」
当の本人は何気に世話焼きなので自分が食べれないことよりも食べまくっている二人の心配をしている。若干ポンコツな部分があるので自分が食べるという思考が抜けている可能性も否めないが。
主に肉をひたすら食べている飯喰 幸奈はそれでもなお止まらず、ユーリエ・シュトラールの領域化しつつあるデザートにも手を伸ばし火花が散りかけている。
飯喰はギフトの件があるので仕方ない面もありいくら食べても問題ないが、ユーリエはそういうわけではなく普通に食べた分あとで後悔することになる。
美味しい物の前では食べる事が好きなものにとって今この瞬間には関係ないことだろうが、後々体重計に乗った時に可愛らしい乙女の悲鳴が聞こえることだろう。
「あの、飯喰さん。そのケーキとこのお肉、交換しませんか?」
流石は笑顔の体現者と言うべきか、一瞬火花が散ったかと思いきやすぐに温和な笑顔で提案をする。ちゃっかりあげるのではなく交換という形で。
「……悪い。つい食い物の事になるとアタシは周りが見えなくなるんだよな。これだってアタシだけの物じゃないんだ。ほら、こっちの肉も美味いんだよ!」
ユーリエの笑顔に毒気を抜かれたのか冷静なりそういえばパーティーであって自分が頼んだ物じゃないことを思い出す。
そこからは本来の気の良い姉御肌な性分を発揮してユーリエさんに肉責めを開始する。悪気は決してないが詰め込まれる肉のせいでユーリエさんの頬はハムスターの様になっていた。
「あ、本当だ、美味しいですね!ってえちょっと待ってくださいまだ食べんむぅ!?」
これでようやく一息つけたききょうはもうここは大丈夫だろうと胸を撫でおろす。……ユーリエさんの惨状を見て大丈夫から大丈夫……かな?に変わったが尊い犠牲と割り切ることにしたようだ。
少し外れたところでミルヴィ=カーソンが雰囲気に合わせてアンティークな愛用のギターを弾き、誰も見てないならと軽くダンスを混ぜる。
ところがそれを見ていた者がいた。どうやら他の人たちに隠れる形になっていたようだ。
「ねぇねぇミルヴィさん。演奏も素敵だけど、ダンスもカッコイイね!私たちにも出来ないかな?」
どこか竜胆をイメージさせる可憐な少女アリス・フィン・アーデルハイドが率先して声をかける。大人な女性に憧れる歳でもありカッコよくも美人なミルヴィの振る舞いが気になっていたようだ。
見られてたか油断したなと思いつつ私たちという言葉に内心で首を傾げアリスの少し後ろを見るとこちらの様子を伺う少女が二人。仕方ないなと苦笑を浮かべ後ろの2人に手招きをする。その姿はまさに良いお姉ちゃんといった風だ。
「なのっ!鳴達も良いみたいなの!コゼットさんも一緒に行くの!」
そう言って元気にコゼットの手を取り飛び出す焔宮 鳴。戸惑いの方が強いようだが逆らうことなく引っ張られるままについていくコゼット。意外と良い3人組なのかもしれない。
「あ……。あたしも……良い……の?」
そんなコゼット達に微笑んでもちろんと言って歓迎するミルヴィはまだ17歳のはずだが、母性を感じさせる。最近出来たという彼氏の影響だろうか。是非とも末永く爆発して貰いたいものだ。
「なにしよっか?簡単なダンスの練習して、アタシの演奏に合わせて踊ってみる?」
それぞれ顔を見合わせる少女たち。そして力強く頷くとお願いします!と律儀に頭を下げる。流石に驚くミルヴィもこりゃ下手に手は抜けないなと即興で曲とダンスを考え始める。
ちなみにこの段階で皆の注目を集めており完全に演者と観客という具合になっていた。
上手く成功させた時に皆からの拍手と歓声を受けて4人は目を丸くしたあと照れながらも喜びを分かち合う姿はとても眩しい光景だ。
入口近くの日当たりが良い場所は穏やかな雰囲気に包まれていた。まるでそこだけ時間がゆっくり流れているような錯覚を覚える。
ルフト=Y=アルゼンタムが趣味である紅茶を皆に振る舞いながらさながら日光浴の如くここにいるメンバーでまったりしていた。
「今回はラベンダーのフレーバーかしら?落ち着く良い香りね」
見た目だけなら少女だが蠱惑的な雰囲気はただの少女ではないことを如実に物語っている。黒ずくめの服装に額に怪しく煌めく赤い宝石が目を引く。表情に変化はないが目は紅茶の香りを楽しむように細められている様に見える。
「魔女であるミスティカをこうも無防備にさせるだなんて。ルフト、キミもやるね。でもラベンダーというチョイスはなかなかだよ」
赤い宝石を持つ魔女ミスティカと同じく本人もまた魔女であるルーキス・グリムゲルデが同じくまったりと楽しみながらたまにはこういうのも良いかなと紅茶の香りをかき消さないようにと煙管を仕舞う。
そしてこの雰囲気を作り出している最大の要因が彼女だろう。幻想種ながら深緑に住まず行動的だがやはり幻想種ゆえか温和で柔和なラーシア・フェリル。そこに更に天然要素が加わっては自然とこういう雰囲気になるのも納得だ。
「花の香りは良いですね。とても落ち着きます」
紅茶を振る舞っているルフト本人もまた幻想種であるのだから最早この雰囲気はなるべくしてなっているのかもしれない。
「皆が気に入ってくれたのなら良かった。茶葉は市販品だから良ければ店の場所を教えるよ」
そうして静かなティータイムをどれくらい過ごしていただろうか。どうやらリーゼロッテ嬢の相手をレオンに押し付け脱出してきたリリィが合流してきた。
「幻想種と魔女ってどこか似ているのかしら?後ろから見ると凄く不思議な光景だったけど、こうして近くに来てみると不思議と違和感がないわ」
席を進めつつ紅茶を注いで新たなまったり仲間を歓迎する面々。しかしここにいるのは同胞と魔女。リリィの晴れない表情にはすぐに気付くが、ラベンダーの香りはリラックス効果もある。
ひとまずは普通に接することにするが、この辺り特に何も言葉を交わすことなくそれぞれが同じ考えに至り、それも互いに察する辺り似た部分はあるのかもしれない。
ちなみに途中で他テーブルにいるリゲル=アークライトから目線で助けを訴えられ、更にすずなからも助けの目線がきていたがしれっとスルーしていたりする。
リゲルに関してはフィアンセのポテト チップが傍に居るので大丈夫だろうという判断と、照れ屋のすずなにテンション高めで絡むシエラ バレスティに圧倒され半泣き状態だったがどこか和む光景だったので良いかという理由だ。
リゲルの方はむしろ男同士だからこその助けを求めていたりしたのだが……。パンドラがあれば復活できるので大丈夫だろう。どれくらいパンドラが減るかは恐ろしくて知りたくもないが。
すずなとシエラについてはもふもふ好きとしては揺れる尻尾に目がいくのであまり状況を把握していないというのもある。もふもふともふもふである。仕方ない。すずなは尊い犠牲だった。
しばらくした後、ききょうが飯喰を引き摺ってやってくる。
「だーりん、そろそろ時間じゃない?言われた通りにやってきたよ!」
誤解を生まないようにしっかりとさせておくが、ルフトにとってききょうはあくまで可愛い妹分である。何度でも言おう。妹分であると。
例えだーりんと呼ばれようと、もう出会ってから何年も経ちその間に書いて良いのか際どいラインの発言でアプローチされていようと大切な家族であり妹分であることに変わりはなく、何年もずっとききょうの誘惑に靡かない鋼の理性を持っている。
ただしもふもふには弱い。もふもふだからね、仕方ないね。ついでに言えば普通に女性が好きであり縁があれば彼女が出来たら良いなと思う健全な男子でもある。
とはいえ鋼の理性のおかげでそう簡単に下心を抱かず女性の胸に目線がいったりということがない。もふもふには目がいくが。それは仕方がない。
何の話だったか忘れてしまったが、とにかく彼は健全な男子であり彼女募集中である。ききょうは妹分、家族なので遠慮する必要はないということである。
当のききょう本人が妹分という立場に納得しているかは全くの別の話ではあるのだが。
「もうそんな時間か。お疲れ様だ。いつもありがとう、ききょう。飯喰さんも準備は良いか?」
だーりんのためならと喜びからか顔を赤くしてくねくねとしているききょうをよそに引き摺られてきた飯喰に尋ねる。
「ダメって言ったら食べに戻って良いのか?」
とりあえず拳骨を落としておいた。
「あら、ルフトちゃん達これからどこか行くの?」
事情を知らないリリィが小首を傾げながら聞いてくる。こういう仕草は歳相応の可愛らしさを伴っている。
「俺達は依頼を受けていてな。時間までせめて顔だけでも出しておこうと思って来ていたんだ」
あら、そうだったの。残念と呟いて一緒にまったりしていたメンバーと共に飯喰、ききょう、ルフトを見送る。

なぜかその後ろ姿にまったりすることで治まっていた、夢を見たときに感じた漠然とした嫌な感覚が蘇る。
その表情を傍目に見ていた魔女2人が僅かな嫌な感じを受け、もう見えなくなった背中に、無事に済むようにと思うのであった。



第一部 完

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