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足女の居る宿

銀砂通り・喫茶店

かつて銀の取引でにぎわっていた通りの一角。古本屋と軽食屋が並ぶ中にその店はあった。
扉は飴色のニスでつやつやして、はめ込まれた色ガラスの向こうでは気難しそうなマスターがグラスを磨いている。
扉を開ければ染みついたコーヒーの香りが出迎えるだろう。

しかし、この店の名物はコーヒーではない。
マスターが気難しく、偏屈であるがゆえに極めた製菓技術、その粋、「完全(パルフェ)」の名を冠する甘味こそ、訪れる客の大半が求める品である。

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ふふふ、あの靴が最初に運んでくれる場所はジョセフ様が連れて行ってくれる場所になりそうですね。

(仮面が閉まっていても何となく表情を類推することが出来るようになってきた。
それでも確実に見える微笑みと言うものは嬉しくて微笑み)

ええ、こちらこそ。良い時間が過ごせました。

(名残惜しそうにそうっとジョセフの手から手を離し……そして差し出された手に目を丸くする。
一度、くろがねの仮面を見て、それから差し出された掌を見る。
顔ににじみ出る喜びを抑えることが出来ない。口元が震えて、頬が熱くなる。
そして俯き気味に小さくうなずくと傷だらけの手を取って歩き出した。共に)

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