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足女の居る宿

銀砂通り・喫茶店

かつて銀の取引でにぎわっていた通りの一角。古本屋と軽食屋が並ぶ中にその店はあった。
扉は飴色のニスでつやつやして、はめ込まれた色ガラスの向こうでは気難しそうなマスターがグラスを磨いている。
扉を開ければ染みついたコーヒーの香りが出迎えるだろう。

しかし、この店の名物はコーヒーではない。
マスターが気難しく、偏屈であるがゆえに極めた製菓技術、その粋、「完全(パルフェ)」の名を冠する甘味こそ、訪れる客の大半が求める品である。

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祈る……。

(何にだろう、と先ず考えた。
ジョセフにとってまず神があり、祈りは神に捧げるものだ。神の存在は絶対であるが、神の恵みは絶対ではなく……

いや違う。そうではない。礼拝の言っていることはもっと単純、いや純粋なことだ。
仮面の内側に籠りかけた精神が再び外に向く。触れる小さな手が。その体温が、繊細な動きがジョセフの精神を引き上げたのだ。)

ありがとう。誰かのために祈りを捧げるのは尊いことだ。そしてなにより……僕ががうれしい。

また一緒に出掛けよう。さっき話した、僕が君を連れていきたい店に。きっとまたより良い成長、より良い変化がある。お互いに。

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