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足女の居る宿

銀砂通り・喫茶店

かつて銀の取引でにぎわっていた通りの一角。古本屋と軽食屋が並ぶ中にその店はあった。
扉は飴色のニスでつやつやして、はめ込まれた色ガラスの向こうでは気難しそうなマスターがグラスを磨いている。
扉を開ければ染みついたコーヒーの香りが出迎えるだろう。

しかし、この店の名物はコーヒーではない。
マスターが気難しく、偏屈であるがゆえに極めた製菓技術、その粋、「完全(パルフェ)」の名を冠する甘味こそ、訪れる客の大半が求める品である。

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では……。

(そうっと自らを触れる手のひらに己の手のひらを重ねる。
何度も探り、覚えた硬い皮膚、傷の位置、指の太さ。冷たい指先がそれらを確かめるように絡め、探り、互いの体温が馴染む頃にほうっと息を吐いた。
手を繋いだ時にそれがその人だと分かればそれは一種の愛である。
礼拝に体の内側の事は分からない。だから表面を何度も調べ、確認し、覚える。それが礼拝が内側を知る為の唯一の道だから。)

心の変化を言葉にするのはとても難しいものです。
心の奥から気持ちをくみ上げてそれを言葉に組み替えるなんて、どうやってできましょう。
私は貴方の変化を正しく知る術はなく、貴方も正しく伝えるすべはない……。
でも、私はジョセフ様の無明の恐れが晴れる事を願っておりますし、ジョセフ様もそこから逃れることを望んでおられる。
だから、私はただ祈るだけなのです。貴方の変化がより良い物でありますようにと。

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