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足女の居る宿
(不意に息が止まった。思考の間隙。
そのまま触れてもよかったのに、どうして言葉に出されるとこんなにも胸が弾むのだろう。)
どうぞ。
(目を閉じて促し、差し出す。)
そのまま触れてもよかったのに、どうして言葉に出されるとこんなにも胸が弾むのだろう。)
どうぞ。
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扉は飴色のニスでつやつやして、はめ込まれた色ガラスの向こうでは気難しそうなマスターがグラスを磨いている。
扉を開ければ染みついたコーヒーの香りが出迎えるだろう。
しかし、この店の名物はコーヒーではない。
マスターが気難しく、偏屈であるがゆえに極めた製菓技術、その粋、「完全(パルフェ)」の名を冠する甘味こそ、訪れる客の大半が求める品である。