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足女の居る宿

銀砂通り・喫茶店

かつて銀の取引でにぎわっていた通りの一角。古本屋と軽食屋が並ぶ中にその店はあった。
扉は飴色のニスでつやつやして、はめ込まれた色ガラスの向こうでは気難しそうなマスターがグラスを磨いている。
扉を開ければ染みついたコーヒーの香りが出迎えるだろう。

しかし、この店の名物はコーヒーではない。
マスターが気難しく、偏屈であるがゆえに極めた製菓技術、その粋、「完全(パルフェ)」の名を冠する甘味こそ、訪れる客の大半が求める品である。

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(近づいたくろがねの仮面をじっと見つめる。緑色の瞳は見えない。
だが、隠されたその向こうにきっと自分と同じ表情があると信じた。
顔が緩む。甘いパフェを食べた時よりも更に甘く、蕩けるような瞳は幸福の中にある。)

ええ、もちろん。
美しいものは好ましいとおもいます。自然物も素敵ですけれど、細工物や工芸品の突き詰められた職人の技術というものにシンパシーを感じますの。
ジョセフ様が紹介してくださるお店、今から楽しみですわ。

ところでジョセフ様。
工芸に興味がある、ということはやっぱりその仮面は自作なさったのですか?
その様な形、口が開閉する機構も珍しいとずっと思って居ましたの。

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