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足女の居る宿

郊外・渓流沿い集落

ひらひらと、黒い羽根のとんぼが飛んでいた。
青い空にはぽっかりと千切れ雲が浮かんで遥か彼方を流れている。

貴方の傍らの少女はつば広の帽子をかぶってらしくもなく歯を見せて笑う。

遠くにはせせらぎの音。
天頂に座す光の中、木々の木漏れ日の向こうで魚が大きく跳ねた。

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ああ、分かっているよ。「愛さない」。

(振り返った礼拝の言葉に頷く。
しかし、仮面の口元を開いて見せた笑みは曖昧だ。寂しげな笑みのようでもあり、歪む顔をなんとか整えたようでもある。)

……ああ、分かっている。分かっているとも。

(駆けていく背中へ仮面を向けたまま、独りごちる。しかしその言葉は空虚だ。仮面の下の瞳は礼拝を見ているようで見ていない。少なくとも、今、目の前にいる礼拝を見てはいない。
ふつふつと腹の奥で沸き立つような感覚。手足の筋はかたく強張り、強く噛み締めた口の中がきなくさい。
理性が叫ぶ。彼女はこの感情を向けるべき相手では無い、と。しかし脳髄はもはや抑えが効くような状況ではない。苛立ちと共に、暴力的で変態的で退廃的な記憶が次々に再生される。

要するに、望むものを得られず不貞腐れ、想像の中でウサを晴らす子供と同じだ。駄々をこねて地団駄を踏むよりは幾分かマシというだけだ。
それは彼自身もよく理解していた。羞恥が仮面の下の顔を焼く。しかし止まらない。止められない。)

……うう、うぐうぅぅ……。

(礼拝が再び戻ってくる前に冷静にならねばならない。
呻き声で怒りと羞恥を紛らわし、傷だらけの両手で仮面を覆う。内側とは裏腹に、くろがねの表面は憎らしいほどに冷えていた。)

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