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ギルドスレッド

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足女の居る宿

郊外・渓流沿い集落

ひらひらと、黒い羽根のとんぼが飛んでいた。
青い空にはぽっかりと千切れ雲が浮かんで遥か彼方を流れている。

貴方の傍らの少女はつば広の帽子をかぶってらしくもなく歯を見せて笑う。

遠くにはせせらぎの音。
天頂に座す光の中、木々の木漏れ日の向こうで魚が大きく跳ねた。

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(ああ、なんてことだろう。

この人は、今成長している。
己の欲求の前で立ち止まり、考え、それどころか自分の思いを伝えようとしてくれている。
それのなんと尊い事か。
立ち会えたことのなんと幸運な事か。
歓喜に背筋が震え、喉が詰まる。
優しく成長を褒めて、なんなら抱きしめるべきなのに頭の中には空白ばかりが広がるのだ。
本来、理性だけで僅かの狂いもなく動作できるように作られているのに、この人といるとどうしても乱される。)

ああ。ええ、ええ、それでよろしいのです。
私は私の世界を愛しております。だからジョセフ様に糾弾されるのはとても悲しい。
ですけれど、貴方はそれを避けて下さった。
違う信義を抱きながらも慮っていただいた。それは何よりも嬉しい事でございます。

(不意に目元に手をやったが湿り気は感じない。喜びゆえの涙は逃れられたらしい。
どうにも、ジョセフの成長や優しさの片鱗のような感情を捕らえると目元が緩くなる。
己の機械の部分で強い感情や衝動を制御しているが、先ほどのように準備なく現れた時はどうにも不安になるのだ。
もっとも、いくら制御しようと頭が真っ白に染め上げられる衝撃だけはどうしようもないのだが。)

ふふふ、最後、野獣に変えられた王子様は元の姿に戻りますよね。
ですけれど、美女が知る王子様の姿は野獣のものでございます。
人はどうしても見た目に拘ります。まして野獣の姿も含めて恋をしたのに変わってしまった。
……これは、一種の裏切りであると思います。
しかし、自分の意に沿わない姿に変わってしまっても美女は野獣を受け入れました。

私はこれを、野獣が元の姿に戻る事を望んでいたからであると思うのです。
変化には良しとせずとも、望みを叶えたことをよしとして、祝福したのだと、そう考えているのです。

ですから、ええ。ジョセフ様は飛べばよいのです。
私は止まり木。いつか、貴方が道を見つけて飛び立っても変わらずそこにあります。

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