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足女の居る宿
(黙して礼拝の言葉を聞く。気を抜けば仮面に伸びそうになる手を抑えて。
言い様のない、どこか居心地の悪さにも似た感覚を憶えながら。)
……これは、ここ混沌で様々な事を見聞きし、僅かではあるが経験を積んだ今だから言える事だが。
(仮面を撫でる代わりに、白い制服の布地を強く握る。子供じみた仕草であるとは彼自身も思ったが、仮面に縋り、或いは仮面に縋ろうとする腕を掻き毟るよりはマシだと判断した。
今から己が行おうとしていることは、そうやって気を紛らわさずにはいられないことである。そう、彼は理解していた。)
思うに、私は人間として育てられていなかったのだろう。
神のため、いや、人間の信仰の為の道具。私が収集している器具、玩具のような……その、つまり、拷問具として。
私が知るのは神の教えと、人体を破壊する術。それから、混沌に来てから見聞きしたあらゆる事柄。それだけだ。……確かに、私の経験は非常に偏っているな。
(仮面が俯く。礼拝から目を逸らす。
そう、これは罪悪感だ。背徳。背信だ。それらを感じるべき対象は礼拝ではないのだが、正しい対象が目の前に無いせいであろう。礼拝の顔も、鏡のような瞳も直視出来なくなった。)
……縋っても、いいのか。君に。
本来ならば、私の方が頼られるべき存在だろう。肉体的にも、実年齢的にも。それなのに、私が不完全なばかりに……。
(そこで言葉が途切れる。そして、再び仮面は礼拝に向けられた。
そう、『本来ならば』。現状を正す為にも彼女は重要な存在なのだ。無くてはならないのだ。)
もし、もしもだ。私が経験を拡げ、人間となる筋道を見つけた時、その後も、君は傍に居てくれるのか?人になった私は、そっくりそのまま今の私と同一とは限らないのだぞ。
言い様のない、どこか居心地の悪さにも似た感覚を憶えながら。)
……これは、ここ混沌で様々な事を見聞きし、僅かではあるが経験を積んだ今だから言える事だが。
(仮面を撫でる代わりに、白い制服の布地を強く握る。子供じみた仕草であるとは彼自身も思ったが、仮面に縋り、或いは仮面に縋ろうとする腕を掻き毟るよりはマシだと判断した。
今から己が行おうとしていることは、そうやって気を紛らわさずにはいられないことである。そう、彼は理解していた。)
思うに、私は人間として育てられていなかったのだろう。
神のため、いや、人間の信仰の為の道具。私が収集している器具、玩具のような……その、つまり、拷問具として。
私が知るのは神の教えと、人体を破壊する術。それから、混沌に来てから見聞きしたあらゆる事柄。それだけだ。……確かに、私の経験は非常に偏っているな。
(仮面が俯く。礼拝から目を逸らす。
そう、これは罪悪感だ。背徳。背信だ。それらを感じるべき対象は礼拝ではないのだが、正しい対象が目の前に無いせいであろう。礼拝の顔も、鏡のような瞳も直視出来なくなった。)
……縋っても、いいのか。君に。
本来ならば、私の方が頼られるべき存在だろう。肉体的にも、実年齢的にも。それなのに、私が不完全なばかりに……。
(そこで言葉が途切れる。そして、再び仮面は礼拝に向けられた。
そう、『本来ならば』。現状を正す為にも彼女は重要な存在なのだ。無くてはならないのだ。)
もし、もしもだ。私が経験を拡げ、人間となる筋道を見つけた時、その後も、君は傍に居てくれるのか?人になった私は、そっくりそのまま今の私と同一とは限らないのだぞ。
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青い空にはぽっかりと千切れ雲が浮かんで遥か彼方を流れている。
貴方の傍らの少女はつば広の帽子をかぶってらしくもなく歯を見せて笑う。
遠くにはせせらぎの音。
天頂に座す光の中、木々の木漏れ日の向こうで魚が大きく跳ねた。