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ギルドスレッド

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足女の居る宿

灯が消えた宿

闇の帳のその向こう。
湿った石畳と酒気と汚濁の匂い。

狂おしい時間が過ぎて夜も眠りに入ったその時間。
灯が消えた宿の鍵が開いている。
扉をくぐれば水の様に張り付く闇の向こうの薄明かり。
その先で、少女のような形をした人形があなたを待ち受けていた。

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(腕の中の少女は微睡みの中に居た。
腕の中で揺れるたびに意識が覚醒に近づくがそれも決定的なものにはならない。
床板の軋みも、窓から差し込む薄青い光もすべてが遠い出来事。

非現実感は危機感を鈍麻させて最も強い「衝動」を優先させる。
己を軽々と支える腕の太さ、服の感触、支える手の大きさ。
そして、もしかして自分はこの腕に溶けて同化してしまったのではないか、と錯覚しそうな力強さ。
僅かな意識の浮上の合間に小さく小さく積みあがっていく「経験」が心地よかった。
夢も現も一つながりで、柔らかな感触にあふれていた)

(しかし、それも終わる。暖かい腕から解放されて寝台に移される。
意識が浮上する。言葉が聞こえる、認識する。

何か言わねばと思った。「ありがとうございます」だとか「わたしもです」だとか。
しかし、頭の中ではそう認識していても、喉がたった数音の出し方を忘れてしまったように動かない。

意識が浮上する。瞼が開く。黒い瞳が貴方を見上げる。)

……ジョセフさま。

(声が出た。
莫大な信頼と親愛と、理外への恋が濃厚に絡み合った一雫。

ああ、なんて、この人の名前を呼ぶのは気持ちいいんだろう。

ただ一言、目的外のただ一言で少女の心は大いに満たされ、眠りへの抵抗が断ち切られる。
再び瞳は閉じられて、安らかな呼吸が繰り返される。
己の周りを巡る嫉妬も、偏執も、狂気も、退廃も、何も気づかず、何も見ず、幼子のような安穏さで深い眠りへと落ちていく。)

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