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足女の居る宿

灯が消えた宿

闇の帳のその向こう。
湿った石畳と酒気と汚濁の匂い。

狂おしい時間が過ぎて夜も眠りに入ったその時間。
灯が消えた宿の鍵が開いている。
扉をくぐれば水の様に張り付く闇の向こうの薄明かり。
その先で、少女のような形をした人形があなたを待ち受けていた。

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(その言葉は、予測の内に合った。
だって、自分が望んだのだ。「愛するな」と言ったのだ。
だからその反応が返ってくるのも、予測してしかるべきなのだ。
なのに、「あいさない」という5文字は致命的に胸を抉った。

暗い縁へと望んで飛んだのに、底のない穴だと分かって身を捧げたのに。
全身の血の気が引いて、再起動をかけたはずの意識が遠のく。
鏡のようだと言われた瞳が曇り、陰り、絶望に濁る。
「愛」という回路が崩れ、「恋」という肉が出血する。)

…………。

(しかし、だからこそ、背中に回された腕の感触が温かかった。)

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