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ギルドスレッド

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足女の居る宿

灯が消えた宿

闇の帳のその向こう。
湿った石畳と酒気と汚濁の匂い。

狂おしい時間が過ぎて夜も眠りに入ったその時間。
灯が消えた宿の鍵が開いている。
扉をくぐれば水の様に張り付く闇の向こうの薄明かり。
その先で、少女のような形をした人形があなたを待ち受けていた。

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(己の手に絡みつく手のひらに、時々悪戯の様に指先を絡ませ返したり、軽く握ったりする。
抵抗とは違う、ささやかな指先の動きだけの言葉。
「まだここをさわってない」「こちら側は?」「もっと触って」「ここにも傷跡があるのね」「痛くない?」
唇の先にも上らぬ言葉は、雄弁に掌の上だけで語られる)

私は名門である北神祭に組み上げられた人形にございます。
沁入とは、北神祭で組み上げられる少女人形の連作の事……。
それを甚く気に入った「とある方」が特別な物を作り上げよとお命じになったのが私の始まり。

オーダーに応えるため北神祭は、沁入の中でも最高性能の素体を使い、原型師が持てる技術の全てを注ぎ調整を行い、汎用の精神原型ではなく「本物」の女から削り出した精神をはめ込みました。
開発期間は5年半、完成の後に「礼拝」という銘をいただいたのでございます。
本来であれば、この後は納品のお話をすべきでしょう。
ですが、そうはならなかったのです。

(小さく息を吐く。
長いまつ毛は陰鬱に伏せられて、その後に起こった出来事が楽しからざる物であったことを予告する。)

……「とある方」が納期の直前に破産なさったのです。
私は北神祭の最新モデルという看板を奪われ、代わりに持ち主を破滅に導く人形というレッテルが貼られました。
親(北神祭)には大変な苦慮をさせたと思います。
なにしろ、潰してしまっては全く損害を回収できませんし、投げ売りに出してしまえば「沁入」というブランドの名を落とします。
結局は完成後5年凍結された後、精神の再調整を受けてオークションに出品される事となりました。

人のうわさは不思議なもので、発表当時縁起が悪いと言われた私はいつの間にか「北神祭の幻の未発表作」になっていたのですよ。

……ここまでが、私の世界のお話でございます。
オークションの会場に登場した瞬間に消えて、本当の幻になった人形の話です。

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